〈コム デ ギャルソン・オム プリュス(COMME des GARÇONS HOMME PLUS)〉がジョン・ムーア&ジョージコックスとコラボレーションしたシューコレクションの第三弾をリリースした。
艶やかなレザーをまとった、メダリオンとパーフォレーションで構成されたロングウィングチップ、そして分厚いクレープソール、クリーパーズ――鼻の奥がツンと痛くなるような懐かしさを感じさせるが、それも当然だろう。
ジョンはロンドンの名門靴学校「コードウェイナーズ・カレッジ」を卒業すると、1987年に「ハウス・オブ・ビューティ・アンド・カルチャー」をオープンした。名にし負うポストパンクを牽引したショップであり、夭逝したジョンは神格化された(共同経営者はクリストファー・ネメス。クリストファーもまた、稀代のデザイナーと謳われたデザイナーだ)。
クリーパーズは靴の聖地、ノーサンプトンで創業したジョージコックスが1949年に考案したソールであり、1950年代はロンドンのテディボーイズが履いてストリートを駆け巡り、1970年代はパンクスが履いてステージを跳ね回った。
かの地のユースカルチャーの歴史を振り返ったとき、燦然と輝くのがジョン・ムーアであり、ジョージコックスであり、クリーパーズである。
今シーズンの〈コム デ ギャルソン・オム プリュス〉は中世の宮廷道化師をコンセプトに据えている。リリースによれば、彼らはどうやらパンク精神を備えていたようだ。
Photo_Hiroyuki Takashima
Text_Kei Takegawa