これからの季節に格好のカラーパレットに、大胆にエンボス加工が施された彫りの深いロゴ。そのロゴは手描きを思わせるタッチも堪らない。
柔らかなシボを刻んだカーフは手に吸いつくようにもっちりしており、用もないのについ触ってしまうかも知れない。今シーズン、ラインナップされたカードケースにはカードの他、コインや折った紙幣、レシートもしまえる。
〈ロエベ(LOEWE)〉の夏の風物詩となりつつあるコレクションの名は「パウラズ イビザ」。スペインはイビザ島の伝説のブティックの名から採った。
フレディ・マーキュリー、ドナ・サマー、ヴァレンティノ・ガラヴァーニ…。世界中のミュージシャンやアーティストが足繁く通ったイビザ。彼らは日がな一日砂浜に寝そべり、キンキンに冷えたビールと音楽に身を溶かした。終の住処としたひとも多かった。彼らの溜まり場が、パウラズだった。
それひとつで名刺交換ができて、喉が渇いたら売店でビールも買える。ビーチとオフィスが地続きになっているイビザの住人に相応しいカードケースだ。
Photo_Hiroyuki Takashima
Text_Kei Takegawa