「パウラズ」はアーミン・ハイネマンが1972年にオープンし、2000年に看板を下ろすまでスペイン・イビザ島のファッションシーンを牽引したブティックだ。〈ロエベ(LOEWE)〉のクリエイティブディレクター、ジョナサン・アンダーソンは幼少期に家族旅行でこの店を訪れ、多大な影響を受けたという。
イビザの豊かな自然をモチーフとしたコレクション――〈ロエベ〉の「パウラズイビザ」は確かにあの店の残り香が濃密に漂っている。
葉っぱのパッチがあしらわれた、かぎ針編みのポロシャツやスカート。あるいはラフィアやイラカヤシを編んだバッグ。在りし日のイビザがありありと浮かんでくるコレクションにあって、その世界の深奥をものの見事に切りとってみせたのがここで紹介するウエアだ。
ヘビーメタルなスクリーンプリントに描かれたのは、芥子の花を思わせるイラストに、“Paula’s Ibiza & LOEWE” の文字。灼熱の太陽とレイドバックなサウンドにさらされて、身も心もとろけそうなそんなあなたに寄り添ってくれるウェアである。
ショーツはスイムウエア仕様。ライニングはテクニカルメッシュ素材で、ベルクロ開閉のフラップポケットには水を抜くためのアイレットがつく。
Photo_Hiroyuki Takashima
Text_Kei Takegawa