ウォレットバッグと名づけられた「エルメスナップ」には大きなコンパートメント1つ、内側にカードポケット1つがセットされている。マチを設けた〈エルメス(HERMÈS)〉の新作なら、まさに “ウォレットバッグ” の名の通り、現代の都市型生活者に必要なもろもろが過不足なく収まるだろう。長さが調整できるバンドリエールも◎。
素材はボックスカーフ。艶やかな光沢と滑らかなハリはメゾンのトレードマークに位置づけられるレザーに相応しいものだ。胴部分は贅沢にも一枚革で仕立てられており、ハギのない表面はそのレザーの持ち味を存分に発揮する。
前回取り上げた「R.M.S・トゥタンマン」にもいえることだけれど、新たなライフスタイルを踏まえたデザイン、コンストラクションの創造にかけては〈エルメス〉の右に出るものはない。馬車から自動車へとインフラの主役が変わりつつある時流にいち早く乗ったのはなるほど〈エルメス〉だった。
蛇足ながら付け加えれば、個人的には “エルメス” とスナップボタンの “スナップ” をかけた言葉遊びがツボにはまった。
Photo_Hiroyuki Takashima
Text_Kei Takegawa