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MY STANDARD. ぼくの定番品。 vol.03 写真家・若木信吾

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先日公開されたコチラの記事で、写真家としての原点や意識について語ってくれた若木信吾さん。その取材で訪れた“民藝の街”である栃木県益子町では、行く先々で焼き物を筆頭とするモノを思慮深く検分し、想いに耽っている様子が印象的でした。

ここではそんな若木さんの私物を紹介。引っ越しの際にたくさんのモノを処分したなかで、残ったモノを持参してくれました。「実用的なものはほとんどないんだけど、その裏側にあるストーリーを考えると残しておきたくなった」とは、若木さんの言葉。写真家らしい一品から、少年のもつ憧憬のような想いが詰まったアイテムまで、らしさあふれる品々をご覧ください。

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若木信吾 / 写真家 
1971年生まれ、静岡県浜松市出身。幼い頃から写真を撮ることに興味があり、カメラを持ち歩く。ニューヨーク州ロチェスター工科大学写真学科を卒業後、フリーランスのフォトグラファーとして雑誌や広告媒体で活躍。その後、写真家としての活動の延長で、書店の経営や雑誌の創刊、映画監督もこなすなど、フィールドを限定することなく自身のやりたいことを追求している。

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カメラ『Rolleiflex(ローライフレックス)』
「カメラ業界ではどんどんデジタル化が進んでいるなかで、この『ローライフレックス』だけが変化できなかったんです。ぼく自身いくつもアナログのカメラを持っていましたが、デジタル化できたものはほとんど売ってしまったなかで、このカメラは売ることができませんでした。これはレンズ一体型のカメラで、これでしか撮れない写真がある。だからずっと大事にしています」

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フィルム
「雑誌の仕事でブルース・ウェーバーを取材する機会があって、これはそのときにもらったものです。彼を一日追いかけたあと、最後にサインが欲しいと伝えると、おもむろにフィルムを取り出してそれに書いてくれました。ここには『Don’t Waste it』というメッセージがあります。写真家らしいアイデアがすごく印象的で、ぼくにとってはすごく貴重なもの。大切に保管しています」

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トートバッグ&ショッパー『BOOKS AND PRINTS(ブックスアンドプリンツ)』
「トートバッグが好きすぎて、気付くと家中にあふれていたため、必要のないものは処分したことがあります。今日持ってきたのは、捨てられずにいまでも大切にしているもの。キャンバス素材のトートは、浜松でバックづくりをしている人にオーダーしたもので思い入れのあるひと品です。ショッパーとエコバッグのグラフィックはうちの父親が描いたもの。結局、人との繋がりがあるものが残っていますね。自分にとって人が見えるものは、トートバッグに限らず大切にしたいですね」

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スケートボード
「大学の同級生であり、現在はイラストレーターとしてニューヨークで活躍するマイク・ミンにもらったスケートデッキです。ウィールがついていないものは彼自身がペイントしてくれました。マイクは97年にパルコギャラリーで一緒に個展を開催したりして、もう27年来の友人です。自分自身スケートはしないんだけど、スケートデッキってなんだか男心をくすぐるものがありますよね」

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ナイフ『G・SAKAI(ジーサカイ)』
「このナイフもスケートデッキと同じように男心をくすぐるというか、使う機会はないんだけど保管しておきたいもののひとつです(笑)。ぼくが中学生くらいの頃、うちの父親がなにか商売をはじめようとしていたんです。たまたま眺めていた雑誌『モノ・マガジン』に影響されてナイフを売ろうと決意し、刃物の街として有名な大阪の堺まで家族で仕入れに行きました。せっかく来てくれたんだから、と言って問屋の方が記念にくれたものがこのナイフです。もう30年以上も持っていますが、一度も使ったことがありません(笑)。ピカピカできれいだから、このままの状態でずっと保管するつもりです」

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椅子『Artek(アルテック)』
「アルヴァ・アアルトがデザインした椅子です。最近フィンランドへ取材に行く機会があって、つれて行ってくれた会社の社長がこのブランドの椅子をたくさん買い付けるものだから、お店の人が「一個サービスするよ」といただいたもの。そのアイテムが「うちに小さな子供がいるので買いたい」とぼくが言っていたものだったのでとても嬉しかったです。子供用の椅子なんですが、普段はクルマに置いてます」

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レコード
「どれもロシアピアニズムのレコードです。ぼくがいちばん最初に撮った映画『星影のワルツ』の制作中、劇中で流す曲を探しているときに出会ってハマりました。ロシアのピアニストのレコードで「メロディア」というレーベルのもの。このレーベルは以前まで国営されていて、その時代につくられたピアノ演奏のみの楽曲がぼくは好きなんです。どれも10インチで珍しいサイズ。益子町を紹介してくれた写真家の高橋恭司さんに連れられて行った神保町のクラシック専門のレコード屋で出会いました」

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「フェルナンド・ペソアの『不安の書』は好きな本で、捨てないし、あげたりしてもまた買ってしまう一冊です。ウィリアム・バロウズはアメリカにいたときに出会った作家。ビートニクを代表する作家はジャック・ケルアックが一般的ですが、ぼくはバロウズのほうを先に知って、そこからビートニク世代の作家に興味を持ちはじめました。ある意味不良的な文化だと思うんですが、どれだけ長い時間が経過してもビートニク世代の作品は一向に廃れることがない。なんだか把握できないカッコよさがありますね。ただただすごいなぁと思います」

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寝袋『WESTERN MOUNTAINEERING(ウエスタンマウンテニアリング)』
「ジョン・ミューア・トレイルへ取材に行ったときに手に入れたアイテムです。5日間くらいの滞在だったんですが、一日中、朝から晩まで歩き通しで、食事も最低限しか摂ることができず、それはそれはすごく過酷な体験でした。その思い出が詰まった寝袋です」

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テルミン、ぬいぐるみ、シシンギングボウル
「ユニークなグラフィックが描いてあるのはテルミンです。ぼくは楽器が弾けないので、これを触りながら演奏の楽しみを味わっています(笑)。ちなみに、グラフィックはマイク・ミンに描いてもらいました。シンギングボウルもそれと同じで、縁の辺りを木の棒でこすると波動音のようなものが鳴るので、おもしろがって遊んでいます。ヤマネコのぬいぐるみはロスに行ったときに手に入れたものです。ぬいぐるみに対する興味は薄いほうなんですが(笑)、これはなんかいいなと思って購入しました」

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写真
「ぼくのおじいちゃんの写真です。買ったばかりの自分のサングラスを掛けさせたら、このポーズが似合ったので一枚撮りました。ポーズは意図的だけど、この表情は頼んでいません。サングラスをかけたことのイメージはおろか、中指を立てることの意味すらもわかっていないのに、この表情が出たのはなんだか不思議な気がします。頭に思い描いていなかった瞬間が撮れるというのは、写真ならではの楽しさにあふれていて、お気に入りの一枚です」

Photo_Fumihiko Ikemoto
Text_Yuichiro Tsuji
Edit_Jun Nakada


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この記事は、J-WAVE(81.3FM)のラジオ番組「Jeep® CREATIVE GARAGE」との連動企画です。番組ナビゲーターをAKOさんとフイナム編集長 小牟田亮が担当し、毎月最終日曜日22時から約1時間、「スタンダード」をテーマにゲストのルーツや定番について掘り下げていきます。また、パソコンやスマホでラジオが聴けるサービス「ラジコ(radiko)」を使えば、リアルタイムはもちろん、タイムフリー機能で自分の好きな時間に聴くことも可能です。ラジオとフイナムの新しいアプローチをぜひ一緒にお楽しみください!

Jeep® CREATIVE GARAGE
毎月最終日曜日 22:00〜22:54
ナビゲーター:AKO・小牟田亮(フイナム編集長)
J-WAVE 81.3FM「Jeep® CREATIVE GARAGE」
http://jeepstyle.jp/creative-garage/

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