控えめな光沢が上質感を伝えるポリエステルのシェルに、やはり控えめな中綿がもたらすすっきりしたシルエット。フライトジャケットをベースとしつつ、土臭さを感じさせないその仕上がりは、分かっていても唸らざるを得ない。
〈ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)〉はつくづく(精神的な意味での)大人のための服だと思う。
カーキのシェルにブラックとオリーブグリーンを挿すカラーパレットもそんな仕上がりに大きく貢献している。
見逃せないのが右の袖からぐるりと背中を通って左の袖まで続くファスナーだ。大胆なこのあしらいが成立するのも洗練されたデザインワークが前提になっているからこそ。
遊び心を忘れないのも、大人の嗜みである。
Photo_Hiroyuki Takashima
Text_Kei Takegawa