「エトリエ」はフランソワーズ・ドゥ・ラ・ペリエールが最初に手がけたカレのデザイン。1964年に誕生した。
〈エルメス(HERMÈS)〉にとって欠かせないデザイナーであるペリエールが俎上に載せたのは往年の鐙(あぶみ)だ。花や星、伝説的な動物をモチーフにした、それらを鎧と共に散りばめ、リボンをあしらった。“エトリエ(étriers)” はフランス語で鐙の意となる。
今シーズン、この「エトリエ」を用いた帽子が誕生した。
ひとつは「ネヴァダ」、もうひとつは「フレッド・エトリエ」。前者はいわゆるキャップ・タイプで、カットと組合せにより一点一点パターンが異なる(!)というユニークピース。スナップボタンには艶やかな光沢を放つ「クルー・ド・セル」が使われている。後者はバケットハットをベースとしたデザインで、表が「エトリエ」、裏が無地のリバーシブル仕様だ。
素材はいずれもナイロン80%、エラスタン20%で構成されるトワロヴァン。そのかぶり心地はどこまでも軽やかで、優しく包み込んでくれる。
2024年春夏メンズプレタポルテコレクションのランウェイでは「エトリエ」をまとったシルク素材のシャツが登場している。
Photo_Hiroyuki Takashima
Text_Kei Takegawa