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栗原道彦フリーバイヤー(?)1977年生まれ2010年に有限会社ロストヒルズを退社。2011年よりフリーでの活動を開始(?)。

クリちゃんがイクッ。

栗原道彦
フリーバイヤー(?)

1977年生まれ
2010年に有限会社ロストヒルズを退社。
2011年よりフリーでの活動を開始(?)。

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BLACK CHAMBRAY = GREY COVERT???

2010.02.15

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本日はかなり変わった仕様のワークジャケットのご紹介と、ちょっとめんどくさい生地のお話を。

CIMG5287.JPGCIMG5291.JPG
<40's "Free Land" GREY COVERT WORK JACKET, SIZE: 38, ¥39,900>SOLD
グレイカバートと黄色ツイルのコンビという、一風変わったカラーリングのワークジャケット。
ブランドはフリーランドで、通常この素材のワークジャケットだとリーの「727-LB」のようなジップフロントのライナー付きというスタイルのモノがほとんどなので、このようにボタンフロント、ライナーなしという仕様もかなり珍しいと思います。

CIMG5282.JPGCIMG5283.JPG
左画像が首元に付くネームタグ。右画像が裾裏で、随所にセルビッチを使用しています。
またウエストベルトが袋状になっておらず、裾際でステッチ処理されているだけという面白い仕様になっています。

CIMG5289.JPGCIMG5285.JPG
ご覧の通り、フロント、袖周り等、数か所に汚れがありますが、生地自体はかなりしっかりしています。
また画像ではフロント部分の汚れがかなり目立ってしまっていますが、これはフラッシュによりかなり強めに写ってしまっているせいなので、実物はそんなに気にならない程度だと思います。

ここからは「カバート」という素材のお話。かなりややこしいので、興味がない方は是非スルーしてください(苦笑)。
CIMG5280.JPG
コチラはシアーズの40'sカタログなんですが、ご覧のようにこういった古いカタログではどこのメーカーも「黒シャン」のことを「グレイカバート」と呼んでいます。
なので、僕もはじめにソレを見たときは「黒シャン」とは織り方、素材等、なにかが違う生地なのかと思ったんですが、実はこの2つ、全く同じモノを指しているんですね。
コレは僕の推測ですが「ブラックシャンブレー(黒シャン)」という言葉自体が元々アメリカにあった呼称ではなく、過去にどこぞの古着好きが名付けてそう呼び出したことからヴィンテージマーケットに浸透していった通称なのではないでしょうか。
なので実際は「カバート」のほうが正しい呼称で、このようにグレイ、ブラウン、グリーンやパープルなど、ヴィンテージマーケットで「杢(ミックス)シャンブレーと呼ばれているモノ」がソレに当てはまるんだと思います。

CHAMBRAY
縦に色糸、横に白糸(または縦糸と違う色糸)を使用した平織織物

COVERT CLOTH
縦に濃淡2色の霜降りの双縒糸(よりいと)、横に濃色の単糸を使い朱子織り、あるいは綾織りした織物

以上が辞典から引用したモノ。
濃淡2色の撚り糸を使用することにより、汚れがあまり目立たないことから「COVERT(〔狩の獲物が隠れる下生え、やぶの意)」という名が付いたようです。
また平織りの「シャンブレー」に対して、「カバート」は朱子織り(サテン)または綾織りと、厳密には織り方に違いがあるようです。
ちなみにシアーズでは、黒に近い濃い色の「オックスフォード・グレイカバート」、薄い色の「グレイカバート」と2色の「カバート」が存在していましたが、何しろカタログが白黒なもんで、色目にどのくらい違いがあるのかは全く分かりませんでした。。。

ただやっぱり日本では「カバート」よりも「黒シャン」という呼び方のほうが通りが良いですね。
でも「カバート」と呼んでいるほうが古着通っぽいんで、今後、僕はソッチで行こうかと思っています(笑)。

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