特技 - 代官山通信（蔡 俊行）

　今日の暑さはまた格別。
そんな朝、電車で生乾きの雑巾臭い服装の男性の横に陣取ってしまった。ほぼ満員の中移動もできず苦しい10分弱。死ぬかと思った。耳は遠いが鼻は敏感な自分。こういう取り柄もどうかとたまに思う。
事務所に着いた時点で汗びっしょり。さっき浴びたシャワーがまた恋しくなる。短パン、ランニングで来ればよかったと少し後悔。基本的に我が事務所にはドレスコードはない。半パンだろうが、サンダルだろうが、タトゥーだろうがピアスだろうが自由だ。
しかしオイニーツイキーはNGだ。
その昔働いていた犬を飼っていたスタッフが獣臭がするのでファブリーズを振り掛けていた。それくらいオイニーには敏感なのである。
で、最近はノネナール臭、つまり加齢臭に敏感な自分がいる。自分こそノネナール臭をそこかしこに振りまいているような年であるが、自分の加齢臭というのは本人には分からないと言うことなのでつい他人に厳しくなってしまう。
住んでいるマンションのエレベータに乗った瞬間にその前に誰が利用したか分かる。意外と老人の住居率の高い物件なので最近ではノネナールの違いもわかるようになった。

ところで住居話ついでに。
昨夜未明より近くのスーパーで警報が鳴りっぱなしであった。これがなんと止むことなく朝まで続くとはその時には分からなかった。
基本、エアコン嫌いなのでいまの季節は窓全開だ。しかしあまりのうるささに辛抱たまらず窓を閉めた。するとこれが寝苦しい。で、まだ開ける。しかし警報は鳴りやんでない。
この繰り返しであった。寝室からリビングの窓まで実は結構な距離があり、そこを開けないと風が通らない。15分は大げさだが30分ごとに起きては閉めたり開けたりを繰り返して寝不足もいいところ。
結果自分がうるささよりも暑さに弱いということが判明。うるささは辛抱できても暑さにはかなわなかった。
で、朝になって気がついたのだが、昨夜に限ってはエアコンを使っても良かったかなと。まあ後の祭りであるが。
寝ぼけている時には頭は回らないのであった。
耳も遠いし、視力も落ちた。頭の回転も鈍いし体力もない。取り柄は匂いをかぎ分けられる鼻だけ。しかもクサイ匂いにだけ鋭敏な鼻。
それが何かの役に立つ機能であればいいのだが、どうなのだろう。
デオドラント剤のCMかなんかでモデル女性のワキの匂いに○×マークを出すおばさんがいるが、ああゆうことのまねごとができる程度か。
ああ、うれしくない。