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バイク考
2011.06.07
20代の前半、どういうわけかバイクレースにのめり込んだ時期があった。少年マガジン連載されていた「バリバリ伝説」の影響というわけではなく、イギリスの旧車を手に入れたのをきっかけに筑波サーキットで行われていた<タイムトンネル>という旧車で争うレースを観戦したところ、自分でもやってみたいと思った。
しかしさすがに旧車で出るのは金銭的にも大変。パーツを手に入れるのが大変だし、セッティングに金がかかる。ある種の貴族趣味である。20代そこそこの若造が楽しめる世界ではない。
そこで<バトルオブザツイン>という二気筒レースに付随した単気筒レースにエントリーすることにした。ヤマハのSRというロングセラーモデルが当時から人気で、発売されたばかりのSRXとほぼ二種で闘うレースである。
まずSRを手に入れた。友人のスタイリストがもう乗らないというポンコツ寸前のもの。サーキットで走る分には簡単な整備だけで問題ない。そして速攻ゴールデンウィークに行われた大会にエントリー。しかし大会前日の練習会で初のクラッシュをして、バイクも体も痛めたため出場辞退というはめに。あの時頭もしこたま打った。いまぼくの言動がおかしいのはその後遺症だと思う。
こういうことがあると人は燃える。次のレースは、このバイクをキンキンに改造して出場。そこでまずまずの手応えを得るのであるが、やはり新型のSRXのパワーとフレームには勝てない。で、ボーナスをすべてはたいてすぐにSRXを手に入れた。すべてがバイク中心の生活であった。一応、ファッション系の仕事をしていたのであるが、それはそれ。趣味はレースであった。
原宿のカレー屋<GEE>のヒロさんらとチームを組み、混んでいる筑波を避け、西仙台ハイランドまで毎月練習合宿を決行。いま思い返すとあれはあれでとても面白い思い出だ。ちなみにヒロさん以外にも広尾の<ジェネラルストア>の阿南さん兄弟も同じチーム。みんないい大人なのに会話はバイクだけ。仙台の街中で牛タンをつつきながら走行後の興奮入り混じるテンションでバイク談義に話が弾んでいた。
あの頃、バイクを6台持っていた。普通、その年代なら職業的にみても服買ったりデートにお金を使うところだろう。しかしお金はスナップオンのスパナにボーナスはクロスミッションに化けた。
当然読む本、雑誌もファッション系ではなく、バイクオンリー。創刊されて間もないころの<クラブマン>なんかも良く買っていたが、やはりバイク雑誌といえば<別冊モーターサイクリスト>だ。クルマのクオリティ誌が<CG>ならバイクは<別冊モーターサイクリスト>なのである。<ベストバイク>とかヤン車的な雑誌も面白いからこっそり読んでいた。<サイクルワールド>というCBSソニー出版(古いね)から出ていた雑誌も好きだった。記憶が定かじゃないがあの頃は休刊になってたっけ? ちなみにHugeの右近さんやデッツ松田くんも<サイクルワールド>の仕事をしていた。懐かしい。
仕事が忙しくなるとレースをする時間もなくなり、バイクに対する愛情も徐々に欠けて行った。これが大人になるということか。そんな自問をするわけでもなく、持っていたバイクはほとんど処分していまは89年に買った最後の一台だけ。
社会もバイクに優しくなくなっている。ホンダやヤマハ、カワサキが世界のロードレース界を席巻してもマスコミはほとんどスルー。日本の技術力高さやモノづくりの信頼度を喧伝できる機会であるし、世界に打って出れる産業なのにもはやバイクは過去の遺物扱い。もったいない。
今朝<ライダースクラブ>の編集長が亡くなったという記事を読んだ。<モーターサイクリスト>と並ぶバイク専門誌。まだ若いのに、残念というしかない。ご冥福をお祈りします。
これ、出ませんか? メットだけあればOKみたいですよ。
http://www.takuma-gp.com/renntai/rentai.html