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蔡俊行フイナム発行人ファッション関係のマーケティング全般に関する仕事が主業務。WEBマガジン「フイナム」の発行主。

代官山通信

蔡俊行
フイナム発行人

ファッション関係のマーケティング全般に関する仕事が主業務。WEBマガジン「フイナム」の発行主。

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ドレスコード考

2012.08.08

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 今夜の会食場所をネットで調べた所、ドレスコードの欄があり、そこに「スマートカジュアル」というのがあった。ふーむ。これは一体どのようなものか。

 たぶんネクタイを不要だけど、短パンやサンダルはちょっと勘弁というくらいのニュアンスか。でも短パンの客でも来たら来たで仕方ない。でもシャツ・パンツがよろしい。ジーンズも認めるけどベターではないという感じなんだろう。しかし苦しい言い訳のようにしか受け取れないなんともグレーなドレスコードである。店側がクロもすれば入店拒否も可能な、まるでどんな人でも逮捕できる日本の司法のグレーゾーン法律のようなものだ。

 こういうグレーなドレスコードにせず、ダメなものはダメときちんと書いてくれた方がありがたい。出かけていって入店を拒否されたらそれはそれでお互いに不幸である。まあ、こんなグレーゾーンルールで店を追い出されることはないと思うけど。

 その昔、姉が宿泊しているパークハイアットに用があって呼ばれたことがある。夏の熱い日で当然のように半パンで仕事をして、その帰りにホテルに寄った。しかし短パンはドレスコードにひっかるということで客室内への立ち入りを拒否された。こちらはその宿泊客の客である。ややこしいが。それを拒否できる権利がホテル側にあるかどうかは知らないが、こちらは本人に会わないといけないのだ。もちろん揉めたが最後にはしぶしぶ通してくれた。しかし廊下の辻々で会うスタッフに呼び止められ、部屋に到達するまで結構を時間を要した。

 この件では不快にならなかった。むしろ筋が通っているとさえ思った。

 おかしいと思うのはドレスコードがゴルフ場だ。

 短パン着用時には必ずハイソックスを履かなくてはならないというなんだかよくわからないルールは最近廃れつつあるが、相変わらずジャケット着用でよろしくというところが多い。欧米のメンズクラブのマネなんだろうけど、十把一からげにどんなゴルフ場も判で押したような取り決めである。名門ならともかく、歴史の浅いゴルフ場までがそれだ。

 紳士の遊びということで、紳士らしくということなんだろうが、どこからみても昭和の演歌歌手の衣装のような派手なジャケットを着た、上品とは言えないおとっつあんなんかが結構いる。あれが紳士のスタイルなのだろうか。あれならTシャツにチノパンの方がより品よく見える。目的を見失い形骸化したルールを引き続き追い求めるが、迷子になってどうしたらいいのかわからないというのが、いまの日本のドレスコードである。

 本来ドレスコードなんてその場に集まる人々の常識などから自然発生的に生まれてきたのが、闖入者を排除する目的から決められるようになったルールだと思う。ならそのドレスコードをタテにパークハイアットくらい排他的な姿勢を見せればいいのに、どこも不況なのでそのあたりがお座なりになっている。だったらそんなものいっそ廃止にしたらどうか、なんて思ってしまうのである。

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