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よろず屋
2013.06.11
自分のやっている職業についてたまに考えるのであるが、編集者というものは良きコピーライターであり、良きアードディレクターであり、良きスタイリストであり、良きプロジェクト・マネジャーであり、良きキャスティング・ディレクターであり、良きプロデューサーであり、そして良き読者であるべきだと思う。。それらのひとつでも欠けていると良い編集者とはいえない。
その上で、特に特筆すべき特技、例えばコピーがうまいとか、美的センスがあるとか、仕切りが抜群などというものがあればいい。すべてにおいてそれなりの熟練度がなければなれない職業である。
ドラクエでは戦士や僧侶などのいう職業のマスターに上り詰め、いくつかのマスターが合体すれば勇者だとか魔法戦士という上級職になれるが、一人前の編集者というのはそれくらい大変な経験値が必要なのである。
しかしこうしたオールラウンドプレーヤー、ユーティリティプレーヤーの弱点もある。それはひとつの職種ではなかなかピンになれないのである。専門職の人にはどうしても敵わない。それはそうだ。一流と言われる人は生まれながらの素質に加え、訓練している時間が違う。一般になんでも一流になるには1万時間かかるというが、オールラウンダーにはひとりの人生では時間が足らない。
日本ハムの大谷選手についてあれこれいう人のロジックもここにあると思う。ピッチャーかバッターか。もしかすると二人分の人生を背負って生まれてきたとてつもない大選手かもしれないが、一般的な常識では外野の言っていることも的外れではない。
ともかくこういう人のことをひと言で言い表すことができる。器用貧乏である。
器用というからには何か良いことのようがだが、これは褒め言葉ではない。そういう意味で使わせてもらうが、最近自分がこのなんとか貧乏だなあなどと思うことがこのところいくつか重なった。
これを英語でなんていうかというと、Jack of all trades and master of noneという。直訳すると、名人になれないよろず屋といったところか。
よろず屋稼業。悪くない。自分がやっていることはまさにこれ。
これから人に自分の職業を説明する時は、こう言おうと思う。
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