Boolog A Go-Go!
石光 史明
VISUAL CONNEXION C.E.O
NY発のヴィジュアル誌、VISIONAIRE<ヴィジョネアー>の日本総代理店を営んでいますが、最近はもっぱら映画鑑賞家として「つぶやいて」います。昨年は自腹観賞232本! 今年も観まくるぞぉ~♪
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Silence of Echo...
2010.03.12
東京で生まれ育った僕には、あまり雪に囲まれたという記憶がありません。
せいぜい「大人になったら絶対私に感謝するわよ。」と母親に言われ、小学校の6年間むりやり通わされたスキー合宿くらいのもの。もっとも大人になった時にはスノボー全盛期で結局母に感謝した事は一度もありませんでしたが...(笑)。
それでも僕が子供の頃はクリスマスやお正月に雪が降ることもあったし、父親と庭に積もった雪をかき集めて「かまくら」を作った事はいまでも鮮明に覚えています。
だからある意味僕にとっての「雪」っていうのは永遠のノスタルジーっていうか、ちょっと特別な感じ。雪国に行けばいいって言うのとは違う。
今年は東京でも雪が頻繁に降っているけれど、それでも降り積もる事は皆無で、1日、もしくは一晩で終わってしまう。
東京もたまには降り積もれば、こんな素敵な時間が流れるのになぁ...
なんてこの映画を観ている間、無音化した不思議な空間を何度も想像してしまいました。
「コトバのない冬」
「音色」っていうコトバが意味するように、音には色があるという事を、そして、それは空気や目に見えないものにも当てはまる事を改めて気付かせてくれた作品。
スクリーンに開いた無数の穴という穴から聞こえてくる、風の音、雪の音、馬の呼吸に、鉄柵のきしむ音。雪道の轍特有の音に、賑わう音。息を潜める音に安堵から漏れるため息の音。そして声にならない音...
書き出したらきりがないくらいどんな些細な音にすら意味があり、そのひとつでも欠けてしまったら何も成立しない世界感。そこにそのひとつひとつの音があるからこそ、登場人物の心の葛藤の音が、いまにも聞こえてくる感じがたまらなくいい。
そしてその一つ一つの音の素粒子が鼓膜を揺さぶり、時に視覚に変化し自分の時間と同化してしまうとても不思議な感じ...
★★★★★
"Echo of Silence"という英語タイトルがまさにピッタリの映画。
俳優の渡部篤郎さん初の長編作品監督なんていう前置き関係なしにとても素晴らしい作品。
登場人物全員が本当にそこに存在するかのように自然で、もしオフィシャルサイトにロケ地が詳細に載っていたら、今すぐに行ってもこの人達の生活が現存するかのよう。
こういう方向性(もちろんすべてそうするべきだとは思いませんが)の映画がある限り、日本映画を見続ける理由があることを再認識させられますし、日本人としてちょと誇りに思います。
そしてまた屋敷豪太さんの音楽が絶妙で!
張り詰めた空気に突然飛び込んでくるアクースティック・ギターの音色が作品に同化してとにかく素晴らしいっ!
いまもオフィシャルサイトを何回もリロードして聞いているくらい(笑)。
これはCDとかで発売にはならないのでしょうか?
ちょっと話は脱線しますが、それはまだ僕が海外生活に慣れきっていないとても不安定な頃、当時爆発的に売れたSoul II Soulに屋敷さんが参加しているのを知ったときにどれほど心強かった事か。もちろん面識があるわけでもないですが、同じ日本人としてとても誇りに思えていたし、ファッション・ショーや街中で耳にするたびに心の中で自慢してたのを覚えています。「どうだって」(笑)。
音楽に支えられる事があると思った、思い出のひとつです。
FRIDGEにも行ったなぁ...ストロベリー・ダンサーズと一緒に...
そういえば、ちゃんと冬沙子ちゃんにCDは焼いて渡したのでしょうか?
「ちょっと、あんたちゃんとCD渡したの?」
なんていう渡辺えりさん扮する、食堂のみどりちゃんの声が聞こえてくるくらい、心に残る作品でした。
ちなみにこの作品、都内だと渋谷ユーロスペースでの上映ですが、今日12日までの期間限定で新宿のK's CINEMAでも上映しているので、ぜひとも劇場で見て欲しいと思います。
このK's CINEMA、初めて行ったのですがとてもキレイな劇場の上、伊勢丹のアイカードを持っていると300円割引になるのでお得です。そして明日13日土曜日から「フェリーニ・フェリーニ」と題したフェデリコ・フェリーニ作品を集中上映するので、お好きな方はこちらも見逃せません!
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