Boolog A Go-Go!
石光 史明
VISUAL CONNEXION C.E.O
NY発のヴィジュアル誌、VISIONAIRE<ヴィジョネアー>の日本総代理店を営んでいますが、最近はもっぱら映画鑑賞家として「つぶやいて」います。昨年は自腹観賞232本! 今年も観まくるぞぉ~♪
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Write to someone...
2010.06.17
僕が長年に渡ってこよなく愛用しているモノがあります。
初めて手に入れたのが20歳くらいだと思うので、かれこれ20年近く使っている計算。
キッカケは僕が日本で高校生だった頃まで遡ります。
当時の僕が憧れ続けた女性、Ines de la Fressange。
そう、シャネルのミューズとしてカールが異例の独占契約を結んだ、今で言うスーパーモデルの走りのような女性。
そんな憧れの彼女に遂に対面する事ができた石光少年の話はこちらを参照して頂くとして、実はこれには後日談があるのです。
その翌年の89年に彼女はフランス(革命以降)の象徴であるマリアンヌに選ばれた事でカールと一悶着ありシャネルを去ることになるのですが、その2年後には持ち前のネームバリューを活かし、とあるメゾンのPRを買ってでた際に当時「ファッション通信」の取材で訪れていた僕は彼女に再会する機会に恵まれたのでした。
そして、そんな場所にもまた懲りずに花束を抱えていった事に、今日のお話しは端を発するのです(笑)。
取材に訪れた彼女は、3年前にRue Cambonにあるココ・シャネルのアトリエに巨大な花束を持って行った事を話すと(社交辞令かもしれませんが)覚えていてくれ、インタビューの後に着ていたTシャツに得意のイラストを描いてくれたものでした。
単なるファンからするとそれだけで超ハッピーだったのですが、全ての日程を終えてミラノの自宅に帰宅すると、そこには一通の手紙が...
そう、他でもないイネス本人からのものでした!
おまけに夏のクチュールの後だったので、わざわざEMSで送られてきていて、バカンス前に確実に読むことが出来るようにという気遣いに痛く感動したのはもちろんですが、そのカードセットの潔さに心を奪われたものでした。
そりゃファンとしては...というよりも、当時はお洒落が大好きだった僕からすれば「同じものを作りたい」と思うのは当然の成り行き。
そして、3ヶ月後のプレタの時までにリサーチをした結果、パリでこの手のものを作るとしたら Rue Saint-Honore にある老舗文具店「Cassegrain」しかないだろうと、恐る恐るこのレターセットを持って訪れたのでした。
接客にあたった初老の女性曰く、多分そこで作ったものであろう事がわかりほぼ同じものを注文したののでした..が。
ただここで大きな落とし穴があったのです...
ひと通り書体と紙を選んで枚数を指定したあとの支払いの段階でビックリ!
後にも先にも支払いでこれほビックリした事は僕の人生の中で一度たりとないくらい。
まぁ確かに銅板にエッチングを施して特殊なインクで文字を盛り上げるのですが、正直いまの4大卒の一流企業の初任給では確実に足りないくらいの額だった事は確かです。
「嘘付けぇ...」なんて思われる方は、試しに伊東屋さんに行って同じようなものの見積もりを取ってみると嘘でないことがわって頂けるはずです(笑)。
ともあれ、次のクチュール(つまり翌年の1月)に出来上がった商品を取りに行ったのがこちら。
他人からすると何て無駄遣いなんだ...なんて言われていたのは解っていたのですが、仕方ないですよね、頼んじゃったんだから(笑)。
ただ、結局「高いものを買っておいて損はない」というのは本当で、あれから20年近くたった一昨年、随分前にストックが切れてしまっていたので、久しぶりにパリを訪れたついでにお店に立ち寄ってみたのですが、まだ残っていたんですよね、当時の銅板が...
そして迷わず追加で400枚ほど発注し、2週間後には無事にFEDEXで届いていたのですが、代替わりしたのか追加注文した際に若い店主が「次からはこの番号を添えてEメールでご注文頂ければ世界中どこでもお送り致しますよ」と言われたのが、まさに時代を感じる瞬間でした。
でもきっと、今から20年後もわざわざ彼の地を訪れている事でしょう。
だって、それこそメールで済む御礼の意を手書きで示したいと思うからこそのカードセットなのですから、それくらいの手間を掛けても罰は当たらないはずですよね(笑)。


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