Boolog A Go-Go!
石光 史明
VISUAL CONNEXION C.E.O
NY発のヴィジュアル誌、VISIONAIRE<ヴィジョネアー>の日本総代理店を営んでいますが、最近はもっぱら映画鑑賞家として「つぶやいて」います。昨年は自腹観賞232本! 今年も観まくるぞぉ~♪
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We miss you...
2010.10.25
エディがデDior Hommeを離れた時に一番最初に頭に浮かんだのは「さて、これから何を着たらいいのだろう?」という事。
これは僕だけではなくスティーヴンも真っ先に思ったことらしく、電話だったかメールだったかで話したのを覚えています。ただ彼の場合は当時エディとバカンス先で「今何を着るか?」という事を話したらしく、結果としては「特別でないもの」という意味でAmerican Apparelのようなオーソドックスなものを取り入れていく傾向にならざるを得ないという話をした記憶があります。
まぁ今のH&Mを初めとするファスト・ファッションの流れを見る限り、決して的を外れた見解ではなかったはずです。
思えば今から17年以上前、もともと学生時代からの友達同士だったエディをスティーヴンから紹介されたのはパリコレの裏方さん達のイベントである「Venus de la mode」の会場での事。当時はファッション通信の取材の手伝いもしていたので、喧噪の中での慌ただしい出会いでしたが、その後彼がサンローランにアシスタントか何かでジョインした際(ディレクションを始める遙か前のこと)に日本に来た際に一緒に東京巡りをしたものです。
その当時の経緯は改めて書くとして、そんな感じ(大体がこんな感じですが)の出会いだったのでディオールにジョインしたのも、そして去っていったのも気付いたら...ぐらいな感じ(笑)。ただ彼のクリエイティビリティーはいつしか僕たちの生活に根付き、スタイルとして確立された点においては、アルマーニがジャケットの芯を抜いたのと同じく、近年のファッション史において名を刻んだ事でしょう。
でもね、たかが僕らでもそうなのですから、この人がサンローランを失った時の喪失感は計り知れないものがあったに違いありません。
カトリーヌ・ドヌーブ演じる母親の過去、そして現在の思いが、どこにでもある、あまりにも普遍的で埋もれてしまいそうな日常生活の中で淡々と描かれていく作品。
一見退屈で、下手をすれば「やっちまったかな?」感を覚えてもおかしくないほどに単調な展開なのですが、終わりに近づくにつれ気付かされる「日常に潜む狂気」。今もそして昨日もこの日本の国でも起きているであろう大小様々な事件も、何でもない、ある一日から始まっているのだということに改めて気付かせてくれます。
★★★★★
映画や私生活でもサンローランの服をこよなく愛したカトリーヌ・ドヌーブが彼女が実際に使っているレターセットでサンローランに宛てた手紙が入ったVISIONAIREでも見られるように、その信頼関係や想いたるやもはや我々の領域とは無縁なのでしょう。
ちなみに意外と知られていないのですが、ある時期までDior Hommeの採寸はウチのスティーヴンで行われていたんです。結構初期の話ですが、それ以降も例えばショルダーバックなんかはスティーヴンがフリーマーケットで見つけてきて使っていたのをエディが取り上げて分解して、その挙げ句出来上がった製品を返してきたって、冗談交じりに話していたのを覚えているくらい(笑)。
まぁいずれにしてもあれ以降、僕がファッション難民なのは事実ですし、今思えばずっと続いていたトレーニングもサボりがちになっているのもそのせいなのかなぁ...と。
でもそれくらいに、影響を受けた事には間違いありません。
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