Boolog A Go-Go!
石光 史明
VISUAL CONNEXION C.E.O
NY発のヴィジュアル誌、VISIONAIRE<ヴィジョネアー>の日本総代理店を営んでいますが、最近はもっぱら映画鑑賞家として「つぶやいて」います。昨年は自腹観賞232本! 今年も観まくるぞぉ~♪
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Paparazzo o Paparazzi?
2011.02.07
今から22年ほど前の話。 ちょうどミラノに移り住んだのとほぼ同時にTVの「ファッション通信」の手伝いを始めた頃。

ミラノコレクションのメイン会場だったフィエラのほぼ前にあった、僕が知る限り世界で一番美味しいスパゲッティーボンゴレビアンコを食べさせる「D'Adriana」という何でもないトラットリアがありました。
場所柄、コレクション終わりのモデル達が頻繁に訪れていたのでさながら業界御用達の食堂といった感じ(とは言っても日本人クルーは定宿が近い我々くらい)でしたが...
そんなある日、コレクション終わりでいつものようにボンゴレビアンコ二人前を平らげていると、隣の席に顔馴染みのモデルさんご一行がやってきて隣の席に着席しました。
毎度の事ですが基本的に食事制限のある彼女たちからすれば僕の山盛り炭水化物は垂涎の的で、その日も早速話題に。
するとはじめて見るとても若い黒人モデルの子がいて「おや?」っと思っていると、セネガル出身のベテランモデルのカチューシャが僕の事を手招きし「いまチョコレート持ってる?」と。
そう、当時の僕はショー終わりにバックステージに行ってお気に入りのモデルさんにチョコレートをあげるという密かな楽しみを持っていたので、その日もバッグに入っていたので差し出すと...
「彼女は今シーズンが初めてだけど、絶対に売れるから覚えておいてね」と紹介されて少しお喋りをしてチョコレートを渡した彼女こそ、ナオミ・キャンベル。
まだスーパーモデルという言葉が生まれる数年前の事でした。
いやぁ、よく出来てるというか着眼点が実に面白い。
単にセレブが一人の少年パパラッツォ(パパラッツィは複数形)を逆に興味本位でカメラで追い回すだけではなく、彼を通してその先にあるセレブ(つまり自分自身を含めての)心理を探るにあたっての、専門家や本物のセレブ達のコメントを交えた上でのドキュメンタリーとしての構成も秀逸。
監督・出演している俳優のエイドリアン・グレニアーなんて、正直「プラダを着た悪魔」くらいしか予備知識がなかったんだけれど、調べてみれば彼は2000年に18年間音信不通だった父親を捜しに出るドキュメンタリーを制作して自身のプロダクションを起ち上げていると知り納得。
ただ探求するだけではなく、きちんと終わり方を考えているのもいい。主人公との目に見えない心のキャッチボールがこういう作品を作る秘訣なのでしょう。
★★★★★
別に子供のパパラッチという点では、誰よりもその利点を本人が理解しかつ利用しているのは間違いないわけで、ただイコールそれが悪いと言うことではなく、彼本人の立ち回りの上手さと頭の良さはもちろん、ご両親の立ち位置が実に興味深い。
セレブやパパラッチ、その実態...なんて言葉が真っ先に頭に浮かびそうな作品ですが、途中から実はこの映画はある意味「育児映画」なのかなと思うくらい、ご両親の親としての子供に対する接し方が一貫してブレないからこそ、子供も自分の長所を活かして羽ばたいていけるのでは?と考えさせられました。
「14歳の子供がこんな事をしていても平気なんて!」という声も聞こえて来そうですが、僕からすれば放任主義でもなんでもなく、実はそんな事を言う誰よりも自分たちの息子を信じ、尊重するからこそ、子供もそれに応え両親を敬いながら自己を認識している気がします。
こんな親子、なかなかいるもんじゃありませんし、なろうと思って出来る事でもありません...
今のところ今年のベスト3に入る作品。もう一度行きたい!
今日は新宿・バルト9のシネマチネを利用してお得に観賞しましたが、普通に1800円払う価値は十二分にあります。
あ、ちなにみ冒頭のミラノのレストランですが、残念なことに既につぶれてしまっていますので悪しからず(笑)。


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