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石光 史明VISUAL CONNEXION C.E.ONY発のヴィジュアル誌、VISIONAIRE<ヴィジョネアー>の日本総代理店を営んでいますが、最近はもっぱら映画鑑賞家として「つぶやいて」います。昨年は自腹観賞232本! 今年も観まくるぞぉ~♪visualconnexion.com

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石光 史明
VISUAL CONNEXION C.E.O

NY発のヴィジュアル誌、VISIONAIRE<ヴィジョネアー>の日本総代理店を営んでいますが、最近はもっぱら映画鑑賞家として「つぶやいて」います。昨年は自腹観賞232本! 今年も観まくるぞぉ~♪
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Childhood memories...

2011.05.05

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僕が小学生を卒業するまで住んでいた家は、裏に父方の祖父母が住む母屋があって、その離れのような形で両親の結婚を機に新築されたコンクリート造りの、今思えばモダンな家でしたし、自分の美意識というと大袈裟だけれども、物事に対しての基準はこの家でできたんだと思っている家。

それと対照的な母屋は2階建ての、どちらかと言えば横長な日本家屋に洋館(その部分は大玄関と応接間として使われていた)を足した造りで、こちらもそう考えるととてもモダンな建物でした。

幼い頃は床の軋む音や日本家屋独特の怖い要素満載の母屋でしたが、成長するにつれ慣れて来たのか、高学年の時には祖父母が旅行でいない時には留守番を引き受けたのを覚えています。

外からいない事がわからないように、毎朝雨戸を開け、夕方にはまた雨戸を閉めに行き玄関の明かりを灯すという単純作業なのですが、とにかくその枚数が多いのと、作業が進むにつれてだんだん家の中が暗くなってくるから結構怖いんですよね(笑)。

そして、途中で怖いもんだから明かりを点けるのはいいんですけれど、うっかり消し忘れて鍵を閉めて、家にもどって夕食の後か何かにたまたま母屋の方を見ると消したはずのあかりが点いているから「泥棒が入ったのかもしれない!」なんて思って、父親が帰宅するのを待って一緒にバットをもって確認しに行ったり...今ではとても良い思い出ですが、そんな怖い思いをした留守番にもご褒美というか、とても不思議な出来事がありました。

それはいつも一番最後に閉めに行っていた、お手伝いさんの支度部屋(その昔は住み込みをしていた部屋)の雨戸に節があって小さな穴が開いていたのですが、ちょうど磨りガラスの部分に重なってピンホールカメラのように外の景色が逆像で見えるんですよね。

またその部屋がナイター設備のあるグラウンドとバス通りに面していたから、タイミングが良いとクッキリとバスが逆さまに、それも反対方向に走って行く様が見えたものでした。

家の記憶って不思議ですよね。
こう書いているうちに釘一本や壁の手触りまで蘇ってきました(笑)。

「木漏れ日の家で」

ずっと観たかったのに、なかなかタイミングが合わなかった作品ですが、本当に観れてよかった!

家が、森が、すべての要素が呼吸をしていて、まるでそこにいる人間が生かされているかのような錯覚に陥るぐらい、スクリーンに映し出される世界に何かとても素敵な時間が流れています。

多くを語る訳ではないけれど、どこの国だって抱えている共通の問題に共通の親子関係、そして共通のお婆ちゃんの腹の据わり具合をとても上品に描いています。

★★★★★

何よりも終わりの潔さがいい。
大抵「祖母に捧ぐ」なんて最初に出るのは未練がましいのが多いけれど、これは別。ラストのテンポの良さがとにかく素晴らしい!

高齢の人は自分を重ねて感慨深くなったり涙する人もいるでしょうし、若い人ならば記憶の有る無しに関わらず、お婆ちゃんに想いを馳せるのではないでしょうか。

そう言えば僕が過ごした家は、中学に上がると同時にマンションへと建て替えられました。あの時は当時は珍しかったマンションに住めるのがとにかく嬉しかったのですが、今となってはあの家がとても懐かしく思いますし、きっと今の家はあの家へのオマージュだったのだと思います。

引っ越すのはとても嬉しかったけれど、引っ越しが終わって数日後に立ち寄った時の人の住んでいない家特有のすえた匂いを嗅いだ時にはさすがに寂しかったなぁ...

あの匂いをまだ覚えてるっていうのが、ある意味スゴいよなぁ...なんて哀愁に浸った一日でした。お時間とタイミングの合う方は是非!

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