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川田十夢公私ともに長男。「AR三兄弟の企画書(日経BP社)」、「ARで何が変わるか?(技術評論社)」、TVBros.連載「魚にチクビはあるのだろうか?」、WIRED連載「未来から来た男」、ワラパッパ連載「シンガーソング・タグクラウド」、エンジニアtype連載「微分積分、いい気分。」など。発明と執筆で、やまだかつてない世界を設計している。https://twitter.com/cmrr_xxxhttp://alternativedesign.jp/

青雲、それは君が見た光。

川田十夢
公私ともに長男。「AR三兄弟の企画書(日経BP社)」、「ARで何が変わるか?(技術評論社)」、TVBros.連載「魚にチクビはあるのだろうか?」、WIRED連載「未来から来た男」、ワラパッパ連載「シンガーソング・タグクラウド」、エンジニアtype連載「微分積分、いい気分。」など。発明と執筆で、やまだかつてない世界を設計している。
https://twitter.com/cmrr_xxx
http://alternativedesign.jp/

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佐藤可士和がデザインしているものについて

2013.03.09

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今朝、花粉症でヤラれてボーっとしている頭でタイムラインを眺めていると、興味深い内容がシェアされていた。佐藤可士和が手掛けたGUの新しいロゴに対する批判記事である。まずは、これを書いた勇気を称えたい。だって、いま。デザイン業界で、彼を公に批判する人なんて殆どいないですから。しかも切り口がオーソドックスでわかりやすい。しかも書いた人の名前が、大曲都市。本名。かっけー。全然意見が曲がってないところも、いい。言いたいことはよくわかる。わかる前提で、僕も作り手のひとりとして、自分の意見を公にしておきたい。

まず、グラフィックデザイナーだとかアートディレクターという役割の者がもつ価値観や考え方。それを企業戦略の中心に据えて考えるというやり方を発明して、副次的に同業者たちの役割をも引き上げたという点に於いて、佐藤可士和の功績は大きい。これを無視して、佐藤可士和の仕事について語ることはできない。僕自身は、グラフィックデザイナーとかアートディレクターと名乗ることはないので、直接的には恩恵を被っていない。けど、やっぱり彼のような先達がいるからこそ、クリエイティブに留まらずに企業戦略に関することまで口出しできるという感覚はある。恩恵を被った以上は、フィードバックしたい。彼が手掛けてきた記号化や単純化の仕事の補完をしてみたい。僕のいい方でいうところの「拡張」は、必ず効果的に作用すると考えている。
もう一方で、これは完全に作り手として、簡単に認められないことがある。佐藤可士和が手掛けたからといって、無条件に正解だとは考えたくない自分がいる。僕には、大曲都市さんのように、文字の成り立ちや美しさを切り口にする言い方はできない。だけど、タイポグラフィとしての正解だけを説いたところで、佐藤可士和が担っている仕事の多くを補完できる訳ではない。ましてや、全てを覆すこともできない。佐藤可士和が担っている仕事は、表層のデザインだけではない。部分を突いたところで、それをインターネットで発表したところで、佐藤可士和が走っている先頭に追いつける訳ではない。然るべき場所で、然るべき人に対して、自分の考えや形を示さなければいけない。そういう場所にたどり着ける仕事を、まずは手掛けなければならない。

「自分ならこうする」は、あらゆる場面で持っておくべきだ。その「自分ならこうする」を、チャーミングに見せるべきだ。僕は、こう考える。そして、実践する。

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