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小嶋享County Line Showroom代表元フリーライター、現在「County Line」ショールームの管理人。19年ぶりの日本に戸惑いながら、恵比寿にアメリカンスタイルのショールームをスタート。毎年2月にカリフォルニアで開催されるヴィンテージファッション・イベント「Inspiration」のメディアディレクターも兼務。www.countyline.jpinspirationla.com

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小嶋享
County Line Showroom代表
元フリーライター、現在「County Line」ショールームの管理人。19年ぶりの日本に戸惑いながら、恵比寿にアメリカンスタイルのショールームをスタート。毎年2月にカリフォルニアで開催されるヴィンテージファッション・イベント「Inspiration」のメディアディレクターも兼務。

www.countyline.jp
inspirationla.com

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今日の武器:消臭力

2011.10.01

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18時。恵比寿の事務所で展示会の準備をしていたその時。

窓から侵入者が一匹。

蛾かな? と気にも留めず、ふたたび作業に戻る。

羽音がやけに気になる。

どうやら電球に体当たりしているご様子。ブンブン、ガンガンうるさい。

ん? ブンブン?

いや〜な予感的中。

蛾じゃない。

スズメバチだった。。

非常に焦る。。。

息を殺しながら、スズメバチの飛行を凝視。窓から出ていくことをただただ祈るばかり。見失ったら最期だ。今年一番の集中力でスズメバチの飛行ルートを凝視する。

「ハチに何度も刺されると死ぬ」という話を聞いたことがある。そして、4年前にインディアンの聖地でハチに刺されたことを思い出す。撮影許可も取らずにインディアンの聖地でファッション撮影しちゃたもんだから、バチが当たったのだろう。「見失う=刺される(かも)」。だから気が抜けない。

もし、4年前のあの一撃がリーチだったとしたら......。

ここで一発ツモですか!? 

いやだ、嫁と幼い息子を残して死ぬわけにはいかない。来月には娘も生まれる。5年後、物心のついた子供達を前に嫁が静かに切り出す。「二人とも、ちょっとそこに座りなさい。いい、あなた達のお父さんはハチに刺されて死んだのよ......」って。悲しすぎる。死に様が悲惨すぎる。

なんとしても生き延びねば!

切れかけた集中力を絞り出して、必死でハチの飛行ルートを目で追う。そして応援する。

今だ! そこだ! 窓はそこだ! あぁぁぁ〜、惜しい。

しかし、応援空しく、10分経っても、20分経っても、スズメバチは電球にぶつかってばかり。外に出られる気配はない。

よ〜し、わかった。これ以上お前を眺めていても目が充血するだけだ。

無駄な殺生はしたくないが、男には戦わなければならないときがあるのだ!

ショールーム内を見渡したが、武器らしい武器はない。取り扱いブランド様がセットアップした素敵なブースしか目に入らない。バイヤーの皆さん、10月4日オープンですよ。アメリカ、イタリア、日本の厳選8ブランドを取り揃えてお待ちしてますよ。

いやいや、今はそんなことを言っている場合ではない。死んだらショールームも開かないのだ。

あ!

トイレに「消臭力」があった。オレンジの香り。

殺虫剤ではないが、素手で戦うよりはマシだ。

右手に書類を4,5枚重ねたお手製「はえたたき」。
左手には「消臭力」。

男の戦いがついに幕を開けた。カ〜ン。

ゴング早々、「消臭力」の攻撃能力の低さに驚く。攻撃可能エリアはノズルから半径30㎝。噴霧したスプレーがまったく届かない。殺虫剤のシュー!とはまったく違った「やさし〜い噴霧」がオレンジの香りをまき散らすだけ。スズメバチには毒霧(?)がまったく届いていない。

こうなったらコーナーに追い詰めるしかない。右手を振りかざし、握りしめた「お手製はえたたき」でスズメバチを打つべし! 打つべし! 打つべし! 

三球三振。かすりもしない。「お手製はえたたき」の攻撃能力の低さに愕然とする。攻撃可能エリアは半径1メートル(ただし、80㎝は腕の長さ、実質20㎝)。

さすがのスズメバチも怒った。オレンジの香りがお気に召さなかったようだ。さっきまで電球周りを飛んでいたのに、いきなり進路を変えて、俺の眉間めがけて突進してきた。

「ブアァ〜ッ」。

とっさの反撃に今まで出したことのない悲鳴を上げる。自分でもビックリするほど情けない声。今はそんなことはどーでもいい。どうやら、眠れる獅子を起こしてしまったようだ。

「本気のスズメハチ vs. もうすぐ40歳、二児の父」の第2ラウンドが始まった。

消臭力を噴霧し、空振りを繰り返す。悲鳴を上げ、噴霧し、空振りし、悲鳴を上げ......

ん? なんだ、液体が落ちたぞ。

戦いの最中、ハチのおしりから液体が滴り落ちるのがはっきりと見えた。

おいおい、毒ですか? 

こっちの毒霧はオレンジの香りを振りまくばかりで、殺傷能力はない。

向こうの毒針は殺傷能力がひじょ〜に高い。

土俵際まで追い詰められて、「もうすぐ40歳、二児の父」にも火がついた。

「お〜し、そっちがその気なら、やってやろうじゃないか!」

第2ラウンドまではディフェンス一辺倒だったが、第3ラウンドからは前へ出る。情けない悲鳴が雄叫びに変わる。「おりゃ〜」。第3ラウンド終盤でチャンスが訪れる。消臭力の毒霧が届いた。しかも、ちょっと効いている。飛行ルートがおかしくなってきた。

ここは押せ押せ。第4ラウンドも迷わず前へ前へ。毒霧と空振りでコーナーに追い詰める。そして、渾身の一撃がクリーンヒット! 

カーペットの上でヒクヒクするスズメバチ。ここで「お手製はえたたき」に一層力を込めて、トドメの一撃!

終わった。激戦だった。

ズズメバチをトイレに流して、15分に及ぶ激闘に幕を下ろすことができた。

ここでハチにまつわる噂話が再び頭を過ぎる。

「ハチは死ぬ瞬間に、仲間に信号を送る」らしい。「俺はここで死んだんだよ」って。

仲間が仕返しに来たらどうしよう......。消臭力がもう一本必要だな。コンビニに行こう。

今日の武器↓ シワくちゃになった紙が激闘を物語る。
IMG_9064.JPG
County Lineショールームは10月4日(火)にオープンします! 取り扱いブランドは以下の通りです。

ANDEM (JAPAN/USA) 
BROWNS SANDAL (USA)
FELCO (USA)
HANDLIGHT (JAPAN/USA)
HERITAGE LEATHER (USA)
HTC EUROPE (ITALY)
KING-O-WEAR (USA)
PALM TEE (USA) 

オレンジの香りとともにお待ちしております。