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小嶋享County Line Showroom代表元フリーライター、現在「County Line」ショールームの管理人。19年ぶりの日本に戸惑いながら、恵比寿にアメリカンスタイルのショールームをスタート。毎年2月にカリフォルニアで開催されるヴィンテージファッション・イベント「Inspiration」のメディアディレクターも兼務。www.countyline.jpinspirationla.com

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小嶋享
County Line Showroom代表
元フリーライター、現在「County Line」ショールームの管理人。19年ぶりの日本に戸惑いながら、恵比寿にアメリカンスタイルのショールームをスタート。毎年2月にカリフォルニアで開催されるヴィンテージファッション・イベント「Inspiration」のメディアディレクターも兼務。

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失われた19年

2012.11.21

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小嶋享 40歳 社会人2年目。
年齢だけみれば立派な大人ですが、日本人として、社会人としての一般常識が著しく欠落しています。

20〜39歳までの19年間をアメリカで過ごしたため、社会人としての"当たり前"が私にとっては"当たり前ではない"のです。日本人として、社会人として、誰もが知っていること、結構知りません。

勿論、アメリカに住んでいても日本の情報は手に入ります。インターネットや日系新聞が海外にも出回っているこのご時世、情報はボーダーレスで手に入ります(一部独裁国家を除く)。しかし、アメリカ生活19年で得てきた日本の情報は、自分から求めた情報。いわば能動的情報なので、趣味嗜好が色濃く反映され、情報内容に偏りがあります。一方、一般常識は受動的というか、日常生活の中で肌で覚えるものです。アメリカで過ごした19年間、肌感覚で覚える日本の常識が驚くほど足りていないことに、昨日気が付きました。まさに、失われた19年(得たものもたくさんあるけど)。

前フリが長くなりました。
昨日、茶碗おじさんに誘われ、酉の市に行ってきました。余談ですが、茶碗おじさんは11月22日発売のCLUTCH MAGAZINE表紙を飾っています。KING-O-WEARBUTTON WORKSHANDLIGHTの最新情報もバババーンと12ページに渡って特集されています。是非、お近くの書店でお求めください。

また話しが逸れた。

<今日のギモン>

トリノイチってな〜あ〜に? 

何ごとも経験。そう思い、トリノイチに関する予備知識がないまま、タクシーに乗り込み、目黒大鳥神社を目指す。フイナムブログでお馴染みのフリープランナー柿本氏とアイウエア業界に旋風を巻き起こしているayameの今泉氏もトリノイチ・ツアーに同行。素知らぬ顔でタクシーに同乗していいるが、私だけ、トリノイチが何なのかまったく分かっていない。土曜丑の日のように、みんなで焼き鳥でも食べる日なのかな?とタクシーの中で一人妄想をしていました。

で、神社に到着。人、人、人。屋台も出ている。
酉の市.JPG

お祭り? 

勇気を出して聞いてみる。

あの〜トリノイチってなに?

酉の市とは斯く斯く然々で、と酉の市に関する講義を受ける。なるほど、ざっくり言うと、商売繁盛を祈願する伝統的な行事で、熊手をもらって飾りましょう、ってことね。理解した。

では、熊手をゲットしに行こうではないか!

まずはお清め。手を洗い、口をゆすぎ、見よう見まねで仕来りに従い神社に入る。

そして行列に並んで、お参りをする。

行列の中でふと思う。

お賽銭は幾ら入れれば良いのだろう? 

茶碗おじさん曰く、45円が良いらしい。始終ご縁がありますように。財布を開けると100円玉2枚と1円玉4枚。204円。45円はない。ま、気持ちでしょ。と200円投入。

見よう見まねで、二礼二拍手一礼し、鈴をガランガランしてお参り終了。

そして、熊手を購入する。

お手頃な熊手は大・中・小 3サイズ展開。ま、縁起物ということで、と大を購入。きっちり領収書を貰う。巫女さんからもらった領収書。税務署も文句は言うまい(たぶん)。で、熊手の勘定科目はなんだろう? 租税公課(賽銭の行き先による)? 接待交際費(神様を接待)? 宣伝広告費(なんとなく)?

あとで会計士に聞いてみよう。

で、熊手を持ってみんなで記念撮影。そして辺りを見回す。
特大の豪華な熊手を買うと、威勢良くで盛り上げてくれるみたい。あっちこっちで威勢の良い声が上がっている。キャバ嬢が誕生日にもらう花束のような特大熊手を購入する人が後を絶たない。みんな、真剣なのね。

ここで昔話『舌切り雀』が頭を過ぎる。大きなつづらを選んだ意地悪ばあさんと、小さいつづらを選んだ正直ばあさん。欲を出し過ぎると自爆するよ、そんな教訓話だった気がする。ちゃんと覚えてないけど。

縁起物だから、と大きな熊手を買う人が大半だと思われる。しかし、商売繁盛の戦いはすでにここから始まっているとしたら? 熊手には福徳(=お金)をかき集める、という意味があるらしい。だとすれば、お金が貯まる人は支出を抑える、という法則に従うなら、小さい熊手を買うべきだったのでは? いやいや、ギブアンドテイクだから、まずは大きい熊手を買って、大きなリターンを求める、という考え方もある。ハイリスクハイリターンの法則。

たぶん、どちらも正解なのだろう。縁起を担ぐのも大切だが、祈願と称し、心の中でより一層の努力をすることを自分自身に言い聞かせる、それが酉の市だと解釈した。熊手の大きさは問題ではない。そんなことを考えながら、みんなで焼き鳥屋へ向かった晩秋の夜でした。
IMG_3833.JPG