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南井正弘Freewriter&Sneakerologist1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツシューズブランドに10年勤務後ライターに転身。主な著書に「スニーカースタイル」「NIKE AIR BOOK」などがある。

履けばわかるさ、着てもわかるさ

南井正弘
Freewriter&Sneakerologist

1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツシューズブランドに10年勤務後ライターに転身。主な著書に「スニーカースタイル」「NIKE AIR BOOK」などがある。

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今日の1足

2010.03.31

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今年の初め、アメ横のミタスニーカーズで、リーボックのフューリーとエアマックス'95のオリジナルカラーが一緒に並んでいるのを見たときは、本当に感慨深かったです。それと同時にサラリーマン時代の事件を思い出しました。

「どうして自分の得意先で売っちゃいけないんですか?」今から13年くらい前、営業部の若手スタッフが涙目でクレームしてきた言葉です。当時INSTAPUMP FURYのオリジナルカラーを2ndスペックで再現するプロジェクトを担当していて、数量や販売店舗を営業部の上層部と決めてました。こういった限定プロダクトは、小売店やユーザーの欲しいだけオーダーを受けたら確実に残るし、商品価値も確実に下がる。しいてはブランドイメージも悪くなりかねない。なのでブランド側が様々な情報を収集して数量をコントロールしなきゃいけない。一方で営業は売り上げが評価対象。「売ってなんぼ」の世界。結婚したばっかりだったりとか、キレイな彼女ができたばっかりだったら、なおさらはりきって売り上げ伸ばしたくなるのもわからないわけじゃない。こういう場合は会議で正々堂々と意見を述べ合えばいい。ところがこのモデル、フタを開けてみると発注会議でマーケティング部と営業部が合意した数以上に入荷した。当時発注数を管理していた業務の担当部長が利益を確保するために上乗せしたらしい。プロダクトの人間はまさに寝耳に水。その結果初速分はいい動きしたんだけど、後半失速。こういうモデルは店頭で長く売れ残ってると神通力みたいのが無くなっちゃうんですよ。このころからフューリーシリーズの勢いが徐々に弱まっていった気がします。似たような話はスポーツシューズ業界だけでなく、アパレル業界でもよく聞きます。発注数を増やした部長は純粋に売り上げを増やしたかったんでしょう。

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今年の復刻モデル。派手なカラーリングは着こなし難しいけど、履いちゃえばなんとかなります。'95年のハイテクスニーカーブームをエアマックス'95と支えてました。


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13年前の復刻モデルの箱ラベル。この頃は会社にグラフィックソフトが無かったからスイス製色鉛筆カランダッシュで色付けしてました。懐かしいなぁ。この箱。同時に悲しい思い出も詰まってます。

shoesmaster13.jpg

シューズマスターの最新号はニューバランスのM1300が表紙。それにしても号を重ねるごとにクオリティが上がってますね、この本は。自分もP.70に登場しています。
限定品といえば今回のM1300の復刻モデルの売れ方は凄かったですね。周囲のスニーカーフリークにも入手できなかった人がチラホラいるから、「ちょっと数少なかったのかな?」と思ったけど、こういうモデルの適正数っていうのはすぐには判断できないですからね。1年、2年して「あの数量で正解だった」と思うような気がします。あまり数量が多すぎるとニューバランスの他のモデルの売り上げに影響を与えるし。あとピナクル(頂点)のモデルは残すよりは足らないほうが絶対イイ。13年前の自分の経験からもそう思います。

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