履けばわかるさ、着てもわかるさ
南井正弘
Freewriter&Sneakerologist
1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツシューズブランドに10年勤務後ライターに転身。主な著書に「スニーカースタイル」「NIKE AIR BOOK」などがある。
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今日の1足
2011.11.30
マニー・パッキャオといえばフィリピンが生んだ、現在のボクシング界で最も人気のあるプロボクサー。ビッグファイトが行われるラスベガスの興行は、ここ数年、彼を中心にマッチメイクが組まれることが当たり前になっています。一昔前はヘビー級だったんですけどね。
フライ級(50.8kg)でスタートした彼のキャリアですが、アントニオ・マルガリートを破り、69.85kgがリミットのスーパーウェルター級を制するなど、なんと6階級を制覇しています。アジア出身の彼が世界の檜舞台で活躍するのを見られるのは、同じアジア人として嬉しい限りで、2008年12月にMGMグランドで行われたオスカー・デ・ラホーヤとの対戦はマンダレイベイのクローズドサーキット(有料の生中継で、アリーナやスタジアムの巨大スクリーンでの視聴)で観戦しました。
日本ではあまり知られていませんが、そんなマニー・パッキャオはナイキの契約アスリートであり、彼のシグネチャーラインのフットウェア、アパレルが展開されています。特にフィリピン移民の多いハワイ、ラスベガスといった土地では彼のシグネチャーラインがコーナー展開されていることが珍しくありません。
これまでパッキャオのシグネチャーラインは日本では展開されていませんでしたが、遂にリリースされることとなりました。それがナイキ ハイパーフライ MP。先日行われたファン・マヌエル・マルケスとの対戦で着用していた超軽量のハイパフォーマンスモデルです。このモデルがオッシュマンズ限定で展開されているのです。アッパーには軽量性とサポート性を兼ね備えたFLYWIREを採用することにより、シューズと足の高い一体性に成功。さらにフォアフット部分にベルクロストラップを配することにより、サイドの激しい動きにも高いサポート性を提供してくれます。カラーリングはホワイト/ブルー/レッドで、これはフィリピン国旗からインスパイアされたものですね。
実際に着用してみると、まず感じるのが軽量性、そしてアッパーのサポート性とアウトソールのグリップ性の高さであり、軽くステップを踏んだだけで「自分の身体をこんなスピーディに動かすことができるシューズがあるんだ」ということを瞬時に感じました。極薄のアウトソールを使用しているので、接地感が高く、脚力をダイレクトに伝えることができるんです。ナイキフリーが人間が本来持っている足の力を引き出してくれるとすれば、ナイキ ハイパーフライ MPは自分自身が本来持っている俊敏性を引き出してくれる存在だと思います。トップアスリートのために開発されたプロダクトだけに、もちろんボクサーに履いて欲しいプロダクトですが、ボクササイズやコンバットといったスタジオエクササイズ参加者が履いても、このシューズのパフォーマンス性能の高さを感じることが出来ると思います。このモデルより前にリリースされていたナイキのボクシングシューズのナイキ マチョメ(フィリピン英語でマッチョメンの意味)がベーシックなデザインでシンプルの極致だったのに対し、このモデルはデザインに遊び心があり、パテントレザーを使用するなど、マテリアルミックスも魅力的な1足に仕上がっています。
アッパーには軽量性とサポート性を両立したFLYWIREを採用。MPとはマニーパッキャオのイニシャルです。
フォアフット部分にベルクロストラップを配したことで、サイド方向のサポート性が向上。
去年ラスベガスのナイキタウンで購入したコットンDRI-FITのTシャツ。ナイキタウンでは、しっかりとコーナー展開がされており、Tシャツ以外に、クロストレーニングシューズ、トレーニングショーツ、ウォームアップスーツ、スウェットパーカetc.もラインアップされていました。さすがフィリピン系移民の多く住むラスベガスです。フィリピン人の間で彼の人気は絶大で、アジア出身ということでよくイチローと比較されます。日本のフィリピンパブで彼のことをディスった客がホステスに激怒されたというような逸話もあるらしいです。さすが母国フィリピンでは国会議員に当選するだけのことはあります。西海岸のトーランスのホステスバーでイチローがディスられても、日本人ホステスは何にも言わないだろうな...。
個人的に彼の試合で一番好きな試合。パッキャオのパンチ力の凄さを世界中に見せ付けました。相手のリッキー・ハットンも強い選手なんですが、この日のパッキャオは右フックが絶好調。このパンチで1Rにダウンも奪っています。そのことからハットンは右フックを警戒していて、その裏をかいて左が「ドーン!!!」って感じですね。ここまで見事なKOは中々見られません。
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