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南井正弘Freewriter&Sneakerologist1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツシューズブランドに10年勤務後ライターに転身。主な著書に「スニーカースタイル」「NIKE AIR BOOK」などがある。

履けばわかるさ、着てもわかるさ

南井正弘
Freewriter&Sneakerologist

1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツシューズブランドに10年勤務後ライターに転身。主な著書に「スニーカースタイル」「NIKE AIR BOOK」などがある。

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今日の1足

2012.08.09

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ロンドンを訪れるのは2002年以来なのでちょうど10年ぶりとなります。その頃と比べるといろいろなことが変化しました。まず感じるのが日本のお家芸だったテレビを始めとした家電製品やPCなどのエレクトロニクス分野での衰退。替わって韓国勢や台湾勢、中国勢が急速に躍進しています。今回宿泊したホテルは珍しく東芝のテレビでしたが、最近宿泊した世界各国のホテルのテレビは韓国のLGが多く、かつて「安くて高性能」は日本の代名詞でしたが、最近は韓国や台湾の代名詞になってるみたい。特に携帯電話分野での日本メーカーの間違ったマーケティング戦略とプロダクト戦略は取り返しのつかない状況に自らを追い込み、もはや「復活は難しいのでは?」という声も少なくありません。

そんな日本ブランドですが、依然として元気のある分野があります。そのひとつがスポーツシューズ。特にランニングシューズの分野では日本ブランドは確固たるポジションを築き、その地位をキープすることに成功しています。アメリカ市場ではランニング専門店ルートでアシックスが長きに渡りシェア1位をキープしていましたが、ここイギリスでも同様にシリアスランナーがシューズを購入するランニングプロショップ(RUNNER'S NEEDやSWEAT SHOPが有名)のほとんどにおいて、アシックスのシェアはナンバーワンといって間違いないでしょう。特にここイギリスではアメリカの同ルートでシェアの高いブルックスとサッカニーのシェアがそれほどでもないので、自ずとアシックスのシェアは高くなります。女子マラソンの日に現地の女性ランナーと話す機会がありましたが、彼女がなんといってもアシックスのランニングシューズの魅力は「機能性の高さと信頼感」と、自分が日本人であることを知って、熱く語ってくれたのが印象的でした。

そんなアシックスのシューズをフルラインで揃えることにより、ロンドンのシリアスランナーから高い人気をキープしていたのが、オックスフォードサーカスに近い場所に店を構えていたアシックスストア。リバティプリントで有名な老舗百貨店のリバティのすぐそばという好立地にあります。そして7月19日には地下鉄のボンドストリート駅そばに世界最大規模の新たなフラッグシップストアをオープン。海外の直営店ではアムステルダム店に次いで、専門機器を用いてランニングの総合的な能力を測定できる「ASICS RUNNING LAB(アシックスランニングラボ)」を導入するなど、アシックスのスポーツシューズを愛するアスリートにとってはこのショップのオープンは嬉しいニュースとなりました。

今回の滞在中にこのショップを訪れましたが、ショップに入ってしばらくして、自分は1足のシューズに魅了されることとなりました。それがGEL -KINSEI4のグリーンカラー。GEL-KINSEIシリーズは大型のGELを搭載することにより。アシックスのランニングシューズで最も高いクッショニング性能を有するフラッグシップモデル。日本では展開していないビビッドな配色に一目惚れし、自分のようなどちらかいうと体重の少ない(62kg)ランナーには本来向かないシューズですが、デザインとカラーリングの良さにヤラレ、思わず購入してしまいました。

帰国後、実際に履いてみると大型のGELによる高いクッショニング性能を感じることができ、時速10km程度のランには最適なプロダクトかと思いました。普段履いているシューズよりも多少重く、最近ベアフットタイプのシューズを履くことも多かったことから、最初の3分ほどはちょっぴり違和感がありましたが、宙を浮くようなクッショニングは、このモデルならでは。前日の皇居ランでフィニッシュをkmあたり4分を切るくらいのスピードで走ったツケから左足の足底筋膜炎が再発してましたが、このモデルを履いたことによってランニング中は痛みを感じることはありませんでした。「アメとムチ」じゃないですが、ベアフットタイプで足を鍛えるばかりでは、疲労やケガの原因になるので、「たまにはこんなシューズを履いて、足をケアしながら走るのもありかな?」と思わせてくれたシューズでした。あとオフシーンでショーツに合わせるのもありかも。


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世界中から観光客が訪れ、高級ブランドのブティックも数多く立ち並ぶロンドンの目抜き通り、オックスフォードストリート沿いに新しくオープンしたアシックスの世界最大級のフラッグシップストア。ロンドンのランナーに愛されるランニングコースとしても有名な「ハイドパーク」のそばにあります。
ちなみに同店のランニングシューズ売り上げベスト3は
1.GEL-KINSEI 4 £160(約19520円)
2.GEL-NIMBUS 14 £130(約15860円)
3.GEL-KAYANO 18 £138(約16836円)
となっており、上級モデルがベスト3を占めています。
この結果も示すように、イギリスでは「アシックスは高級!」というイメージが強く、翌日の取材でウォータールーの「RUNNER'S NEED」を訪問すると、アシックスとナイキで悩む女性がおり、結局ナイキのエアペガサス+29を購入したんですが、その理由は「ナイキのほうが安かったから」。値段が同じなら本当はアシックスのほうが欲しかったらしい。

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アメリカや日本で良好なセールスを記録しているアシックス33。日本では今月からニューカラーの展開がスタートしましたが、ストリートでも着用できるスタイリッシュなデザインと高い機能性を融合したコレクションはイギリスでも人気上昇中とのこと。写真は上級機種のGEL-EXCEL33 £125(約15250円)

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