ジャパニーズ・ジプシー。 - シックスセンス（シガ アキオ）

　ちょいとサボっていた。雨が無ければ水不足だ何だとわかっちゃあいるが、やはり雨は嫌だ。とくにジメジメと蒸し暑い梅雨の雨がだ。もうそれだけで何も考えたくも、外に出たくも、人に会いたくもなくなる。躁鬱のスイッチがそれしきのことなんて、意外と（？）単純な性格なのである。なもんでこの時期、街で会っても不機嫌で、飲みの誘いも無視しますが、そこはまあひとつ穏便によろしく。
さて、今週一番のニュースつったらイチローだろう。あの人のスゴイのは、実力もさることながら、それを印象づけるタイミングが絶妙なところだ。それはプレーに関わらず、発言なんかもいちいち。やっぱスターだなあって感じる。彼みたいな人を本当のスーパースターって言うのかもしれない。それは、みんなの前で予告ホームランを宣言し、本当に逆転満塁サヨナラホームランできちゃうような人のことだ。しかも優勝がかかったような大事な場面で。そーゆう意味じゃ去年のＷＢＣ（ワールド・ベースボール・クラシック）からの活躍は神憑っている。
それに比べてヤンキース松井はどうか。このところ調子を落としているが、そんなことはどうでもいい。彼がＷＢＣに出場しなかったことが全てだと思う。確か理由はこうだった。「ヤンキースの一員だから」。自分はあくまでチームに尽くし、国の代表にはならないと決めた。いかにも元巨人軍の優等生的決断だ。ジャイアンツ“愛”、ヤンキース“愛”か。ただ不運なのは他のチームメイトは自分ほどヤンキース愛なんかなかったことだ。開催直前になってバタバタとナショナルチーム入りした。マジでダサかった。ＷＢＣ優勝によって、日本のナショナルチームのメンバーは自分の商品価値を上げた。
運もふくめてスターがスターたる所以だ。そー考えてみるとサッカーの中田英も天才であったかもしれないけどスターではなかったなあ。

ところで、去年のそのＷＢＣの最中での出来事。いよいよゲームが盛り上がってきたと、みんなで我が家に集まることになった。去年はワールドカップもあって新型テレビが飛ぶように売れたとか。ボクもタイミング的にここしかないと奮発して大画面液晶テレビを買った。なので、どーせだし、もっと大勢で観てみよーと観戦パーティ開催の旨を伝える携帯メールを皆に送信した。すると、とある友人から「あまり興味がない」とメールが返ってきた。興味が無いならしかたがない。でもいま日本ががんばってるから応援しててよ、とメールを返した。するとまた「どこの国が勝っても、面白いゲームならそれでいいよ」と。さすがにイラッつーよりムカッとした。ちなみにそれは女性で性格もよく知っている子だ。それが彼女なりの正直な意見で悪気なんか無いことも分かっていた、のだが。
その子はとてもいい子だ。まず人の悪口など言わないし、誰に対しても平等で、愛をもって接する。一言で表現すると“ピース”なヤツ。彼女は中でも特別かもしれないが、どうも最近のアシスタントの子たちや若い世代を見てるとそーいったフシがある。とにかく底抜けに平和主義。いつからかそこに“違和感”を感じる自分がいる。何故か。
７０年代、ジョンとヨーコが空に掲げたピースサイン、意味はもちろん平和だけれど、みんなで仲良くイエーイ、とはちょっと違うと思う。世界中の、何か脅威があって、平和を願う、強い気持ちだ。イエーイじゃない。
自国の代表さておき、他の国が勝っても楽しいとは、まさに日本人らしい。恐らくそんな国民性って世界中探してもこの国くらいだと思う。ある意味すばらしい国かもしれない。どこかの有名占い師がとあるテレビ番組で、何十年後かに日本は滅びて日本人はみんなジプシーになる、と言っていた。まんざら嘘じゃないと思った。ただ、そんな国籍も持たない気楽な流浪の民を何処の国が受け入れてくれるのだろーか。