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COLUMN

monessay

文:蔡 俊行

フイナム発行人、フイナム・アンプラグド編集長である蔡 俊行による連載企画「モネッセイ(monessay)」。モノを通したエッセイだから「モネッセイ」、ひねりもなんにもないですが、ウンチクでもないのです。今回は〈ボーズ(BOSE)〉のノイズキャンセリングイヤホンについて。

  • Text_Toshiyuki Sai
  • Photo_Kengo Shimizu
  • Edit_Ryo Komuta, Rei Kawahara

第三十九回もの忘れ

映画『IT』が上映中だ。スティーブン・キングの原作で前編と後編に分かれていていまのが後編。日本で最初に出版された単行本も同じく前・後編の2冊に分かれていて、四六判よりもどーんと大きいサイズで迫力があった。

リリースと同時に買って読んだ記憶がある。忘れたけど値段は結構高かったような。

それを働いていた某編集部の友人にカリパクされた。まあ、本なんてそんなものといえばそんなものだが。

この後編、なんかドタバタしていて観ていない。ジェシカ・チャスティン好きとしては行かねばならぬのだがね。

前作は映画館で観た。そして原作がどうだったか思い出した。なんせ読んだのは20代のころだ。はるか昔のことである。

物語を読んでいるときに、ひとってこんな風に子供のころの記憶を忘れるもんだろうかとすごく疑問に感じた。なんせこちらは若い。5歳や10歳くらいの記憶はわりと鮮明にある。なので途中、みんなの記憶が曖昧なのがどうにも腑に落ちなかった。まあ最後の最後で理由はわかるんだけどね。

これがぼくの『IT』の思い出だ。

いまそれなりに歳を取ってきた。幸運なことに髪の毛は残っているが、少なくない同級の友人たちの頭髪は寂しいものになっている。会うと健康の話をしたり、親の墓の話になったり。歳を取るのもそれなりに楽しい。

そして最も盛り上がるのが、衰えからくる失敗談。体が硬いだの、階段が辛いだのというのはもちろんだが、記憶力の衰えに最も共感するのである。ちなみにその度に『IT』のことを思いだす。

顔は知っているのに、名前が思い出せない。こんなのは日常茶飯事。喉元まできてるんだが、わからないので声をかけられたら話を合わせる。ある種の処世術だ。

会話の中で人名なんかがでてこないのは、あたりまえ。出てくる方がおかしい。ほら、あの映画の、米軍の、中東で、とか。会話中に連想ゲームが始まる。

ついグーグル先生に頼ってしまうんだが、これが脳にはあまりよくないらしい。シナプスをつなげるためにも唸りながら思い出すのだと、頑張るのだがそんなことしてたら会話が持たない。

年取ると誰もがこんな風にもの忘れが激しくなるのである。

それだけならあまり被害は少ない。しかしぼくの場合、このところ物をいろいろ無くすことが増えた。

以前、この欄でも紹介した〈J&M デヴィットソン〉のベルトをゴルフ場のロッカーで無くした。買ってそんなに時間が経ってないから、これは悲しかった。ゴルフ場に電話して探したものの落し物としては届いてないと言われ泣く泣く諦めた。でも誰が持っていくのだろう。サイズもあるものなのに。

出先でバッグを忘れてくるというのもある。

先日、ビームスさんが提供しているインターFMの『トーキョー カルチャー ストーリー」にゲストで呼ばれた収録後、サコッシュをスタジオに忘れた。財布やら鍵やら大事なもの全部入りのやつ。オフィスに戻るクルマのなかで先方のスタッフからの電話ではじめて気づく始末。あー、恥ずかしい。

もの持ちはいい方なのだが、まあ若いころからこういうもの忘れが多い方だった。それがさらに拍車をかかっている。

先日、出張のため飛行機に乗るのでノイズキャンセリングのイヤホンを用意しようとしたところ、ない。どこを探してもないのである。

これがあるとないのでは疲れ方が全然違うから、旅の必需品としてリストの上に記載してあるものだ。最後に使った飛行機とホテルのことを思い出そうとするのだが、どうしたかがまったく思い出せない。

しかし帰りに無ければ気づくのできっと飛行機の中に置いてきたに違いない。

幸いというか出張前日に気づいたので、新しいのをまた買うことにした。ずいぶん前に買ったものなので、進化した最新版を買おうと家電量販店に行ったところ、このモデルはずっとこのままであった。ヘッドホン型のノイズキャセリングは日進月歩なのに、インナーイヤー型はそのまま。

飛行機の狭い席ではヘッドホン型はジャマなのでインナーイヤー型でないといけないし、機内で映画などを見るには有線モデルでないとならないので選択はこれ一択。

まあ進化してないけど、不満はいまのところない。

変わったところといえば、色が変わってケースが硬くなった。

気をつけて無くさないようにしないと。

¥27,000+TAX

インイヤー型でノイズキャンセリング機能を搭載したイヤホンは〈ボーズ〉史上初。StayHear+チップが日常のあらゆるノイズを遮断する。1回の充電で最大16時間の連続使用を可能にする充電式バッテリーを備えているのも、このアイテムの大きな特徴。

PROFILE

蔡 俊行
フイナム発行人/フイナム・アンプラグド編集長

マガジンハウス・ポパイのフリー編集者を経て、スタイリストらのマネージメントを行う傍ら、編集/制作を行うプロダクション会社を立ち上げる。2006年、株式会社ライノに社名変更。

INFORMATION

ボーズ・オンラインストア

電話:0120-002-009
www.bose.co.jp

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