「走り」は、あくまで脇役。
それでは場所を移し、11月某日の東京。ここにも、自分たちらしい「楽しみ」を追求するクルーがいました。
この日駒沢公園に集まっていたのは、スタイリストであり「カーサービス」を主宰する橋本奎さんと、自身のブランドを運営するBOBBYさん、「PAJA STUDIO」のATSUSHIさん、彫り師のRAYさん、アーティストのYUSUKEさんという5人。
それぞれ仕事仲間であり、プライベートではパーティに行ったり、温泉に行ったりする間柄。最近は「ラン友」の側面も加わったと言います。
だいたい、みんなで走るときは橋本さんが発起人。
「ひとりで走ることも多いですけど、たとえば仕事の話をしなきゃいけないときに『走りながら話さない?』って誘ったりしてます。あとは、みんなで飲みに行く予定があったとしたら、その前にひとっ走りしたり。『走る』ことが本当の目的じゃないことのほうが多いです」
それまで、ミーティングといえばカフェだったりオフィスだったりしていたけど、いまはその舞台がトラックやロードに変わってきたと言います。「あと、なにより走ったあとのビールがうまい」とRAYさん。
現に、1938年にイギリスで始まり、いまや世界160カ国以上に広がる「Hash House Harriers」も、皆でわいわい走った後でビールを楽しむのが通例。我らがフイナム ランニングクラブ♡ も、走った後はビールで締めるのがお決まりです。
ちなみにこの5人、運動神経も走るスピードもそれぞれ違います。YUSUKEさんは国体にも出場した経験を持つラガーマンだし、ATSUSHIさんもBOBBYさんも、サッカーはかなりのレベル。一方で橋本さんは運動嫌いで、RAYさんも運動はほとんどしない。それでも、ペースもタイムも気にせず、誰かのペースにじわりと合わせて、走る。
「だったら、ひとりで走ればいいのでは?」と質問すると、「体を動かしながら課題を共有すると、頭がクリアになって解決策が浮かんだりもする。そんなスポーツって、ランニング以外になくないですか?」と橋本さん。
なるほど、ランニングは彼らにとってスポーツというより課題解決の場であり、創造の場なのかもしれません。