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ファッション玄人3人に聞いた、オールタイムベストのアウター。
WHAT'S YOUR ALL TIME BEST OUTERWEAR?

ファッション玄人3人に聞いた、オールタイムベストのアウター。

暖冬も相まって、12月のいま佳境を迎えているアウター戦線。短丈か長丈か、 ダウンかカシミヤか、単色かカラフルか、はたまた新品か古着か。悩むべき関門はいくつもあります。そんなときはファッション玄人たちに頼るべし。「GMT」PRの三浦由貴さん、「ビームス ボーイ」バイヤー の加藤麻有さん、「MURPHH」バイヤーのHomareさんの3人に、今もこれからも、ずっと愛しつづけるであろうオールタイムベストのアウター5着を聞きました。それぞれのアウター論や着こなし方も参考にしつつ、今冬最高の一着を見つけましょう。

グッとくるのはカルチャーやモノづくりの背景を感じさせる服。

No.1 三浦由貴

PROFILE

シューズのインポーター「GMT」に入社後、同社のセレクトショップ「バーニッシュ(Burnish)」のバイヤー兼マネージャーを経て、PRとして手腕を発揮。ブランドのディレクションや商品企画など、その活躍は多岐にわたる。
Instagram:@miurachelin

プロダクトとしての魅力の根源を辿る。

ー今回、オールタイムベストなアウター5着をお持ちいただきましたが、ご自身のアウター選びにおいての一番のこだわりは?

Miura: アウターコレクションは20着くらいあります。ダウンジャケットが多めですが、ダウンベストやダッフルコート、ウールコートなど様々なタイプを持っています。見ての通り、最近のスタメンは短丈オンリー! ただ、歳を重ねるとともにそうも言っていられなくなっていますね(笑)

ーと、言うと?

Miura: あ、もう本当に体力的なことです(笑)。年々寒がりになっていくんですよ。なので、ここ最近はダウンジャケットにお世話になってます。

ーでは、それぞれのアウターの推しポイントを伺っていきます。まず1着目は〈ワールズエンド(Worlds end)〉のMA-1。こちらはかなり貴重な逸品ですね。

Miura: 〈ワールズエンド〉は1971年に「Let it Rock」という名前でキングスロードにできて、その後何度か名前が変わり、1980年頃に「ワールズエンド」になった。〈ヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)〉の本店であり、ブランドの精神や歴史、哲学そのものを体現する特別な場所で売っていたものという事実だけでも特別感があるんですよね。

〈ワールズエンド〉のMA-1

この仕事をしていると、自分なりにダウンだとどこが一番いいんだとか、じゃあムートンジャケットだったら何が一番最高峰なんだとか。デニムのジャケットならもちろん〈リーバイス(Levi’s)〉の1stだし…などとあれこれ考えることがあります。ただ間違いないのは、このブルゾンがこれはMA-1の中で最高峰だということですね。

ーまさにカルチャーを背負っているような感覚になりそうですね。

Miura: 普段古着やヴィンテージを着ることが多いので、その文脈からもあんまりはぐれてないってこともあるし、そりゃあ当時は革新的な表現やデザインだったけど、今着るといい塩梅でハマっているのかなと思います。

ーどんな着こなしをすることが多いですか?

Miura: 〈カルーゾ〉や〈ブリオーニ〉などの “ザ・ドレス” なムードのジャケットの上にこのMA-1を着るんです。大人じゃないとできない着こなしという気がして僕は好きです。それこそ昔、初期の〈サイ〉が出していたMA-1とテーラードジャケットがドッキングしたアウターがあって、それを見たときの衝撃が忘れられないのかも(笑)

〈フィルメランジェ〉のヤクムートン

ー次は〈フィルメランジェ(FilMelange)〉のヤクムートン。こちらは一目で上質さが伝わってきます。

Miura: やっぱりわかりますか? 本当に触り心地がふわふわなんですよ! 〈フィルメランジェ〉は糸からつくっているブランドなので、素材への探究心が物凄い。これは表地はウール、裏地がモンゴルのホワイトヤクという希少なヤクに縮絨をかけてムートン状にしていて。ヤクって着ているうちに擦れてどんどん内側が起毛してくるんです。

ーつまり着れば着るほどふわふわになっていくと! 育てがいがあるのも服好きにはグッときますね。

Miura: あとは、さっきも話しましたけど、古着って基本寒いじゃないですか(笑)。だから古着に羽織ってもキレイに合わせられるいいアウターはないかなーと探していたときにちょうど見つけたんです。ドレスアップしてるときも全然羽織って着ていけるし、合わせるアイテムを選ばない。

たまにレストランに着て行って「ジャケットお預かりします」って渡すと「ええ?! そんなに軽いんですか?」ってみんなびっくりするもん(笑)

ームートン特有の着膨れ感がないですね。

Miura: 一般的なムートンはそうなりがちですよね。結局インナーはTシャツとかロンTとかじゃないと無理だし。ただこれは結構着込んでもモコモコしないのも素晴らしい。これはムートンの最高傑作じゃないかな。

ー最高傑作連発ですね。さて、次はパタゴニアですか。でもこれは見たことがなさそう。

Miura: 70年代後半につくられたサンプルを古着のバイヤーがアメリカのフリマで買い付けて、その後日本で指折りのパタゴニアオタクの友人が手に入れて、それを譲ってもらいました。それこそ何年も前からお願いしていてやっと今年手元にやってきました。

〈パタゴニア〉のパイルブルゾン

Miura: この年代に〈パタゴニア〉と〈エルエルビーン〉がコラボをしてつくっているパイルジャケットがあるんですよ。パイルで裏地がボアで、その試作のときにつくったサンプルの可能性もあるかなと。真偽は不明なんですが。でも基本的にこの年代のこのタグのときにこのフード付きは出てないのでどっちにしろ、“いわくつき”のパイルジャケットであることは間違いないですね。

ーまたしてもスペシャルな逸品が出ました。機能性はどうですか?

Miura: 風を通すからまぁまぁ寒いです(笑)。冬場はこの上にシェルジャケットを着てしのぎます。

ーそれに対して残りの2着はすごく暖かそうですね。

Miura: 繰り返しになりますけど(笑)、ダウンの中でどのブランドが最強かというのを一時期ハマって調べていたことがあって。〈ピレエックス〉とか〈モンクレール〉はいわゆるファッションアイテムになってしまったので、ギアとしての最高峰を探っていたときに辿りついたのが、このフランス発の〈ヴァランドレ〉というブランド。

〈ヴァランドレ〉のダウンジャケット

もともとは以前働いていたセレクトショップの先輩が冬になると着ていて、カッコいいなと気になっていたブランドです。本格的なアウトドアブランドで、ヨーロッパのアルピニストが愛用するほど高品質。ファッションブランドのダウンにはないストイックなデザインやキャッチーなロゴに惹かれたのと、あまりひとと被らないのもお気に入りです。

東京の気温ではなかなかそこまでにはならないですけど、体温を中で保持する構造になっていて外気温と中の温度差でブワッっと膨らむんです。そもそも雪山用につくられていて中に入っているダウンの量が半端じゃないので、都会で日常的に着るのには適さないのですが、その先輩との思い出込みでお気に入りの一着です。

〈ヨーク〉のマルチデタッチャブルリバーシブルダウンジャケット

ーもう一着は〈ヨーク(YOKE)〉。今回唯一の新品ですね。

Miura: これもすごいんですよ。24AWから定番で出ているダウンジャケットなんですが、リバーシブルで着られる上、丈はショート、ミドル、ロングの3段階、袖は8分袖、5分袖、ノースリーブにアレンジできる。襟は取り外してマフラーとしても使えるというマルチウェイ仕様! デザイナーの寺田くんは同い年で地元も同じで、以前からずっと応援しているんです。このアイテムを見たときはさすがだなと思いましたね。

Miura: そして、この絶妙なパープルは我々の世代には結構刺さったカラーリングです。正直、最近はもうあまり新品を買うことは少なくなってきたんですけど、これはいいわ、と思って気づいたら買っていた名品ですね。

ー結果的に5着すべて名品だったということで。貴重なアイテムを披露していただきありがとうございました。

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