ラブレターには応えたい。
ー俳優のキャリアも30年近くなりますが、変化を感じることはありますか。
Shibukawa: 全く意識してないけど、すこしずつは変化してるんじゃないかな。自分の芝居の癖が分かってきたりとか。最近の若いひとたちの自然な動作を見て「俺もあんな風にできるかな」と思ったりね。苦手なことも分かってきたよ。舌足らずで、「サ行」のセリフが得意じゃないんだなとかね。まあ、逆に田中邦衛さんの言い回しみたいに独特の魅力に転じることもあるかもしれないし。
ー仕事の選び方に基準はありますか。
Shibukawa: 基本的に断らない。昔からずっとそう。自主映画も全然やるし、むしろやりたいよね。はまちゃん(濱口監督)なんかも、学生時代の映画からやってるから。誘ってくれて、そっからもうずっとつづいてる。そういうことはすごくおもしろいよね。
ー最初はどんな始まりだったんですか?
Shibukawa: はまちゃんの時は、たしか卒業制作だったと思うんだけど、ロシア映画の『惑星ソラリス』を撮りますって事務所に話が来たんだよね。でもすごい難しい役だったから、「いや、これたぶん俺じゃないんじゃない?」って。でも「渋川さんにやってほしいんです」と。そっからの付き合いで、『偶然と想像』も含めて4作品に出てる。たまにそういうのあるよ。「こういう絵を撮りたいから渋川さんにやってほしいです」ってラブレターみたいな手紙くれるやつも結構いるから。そういうのはもちろん答えるようにしてる。
ー監督によって現場の空気も違いますか。
Shibukawa: 全然違う。黒沢清さんの現場に行った時はすごかったね。いろいろなひとがぐっちゃぐちゃに話す映画だったんだけど、撮影は一発で。「素晴らしいな」と思って。 テレビだと、いまやってる『探偵さん、リュック開いてますよ』は沖田(修一)さんが撮ってるドラマで、こっちが喋ってても聞いてる相手の顔だけをずっと撮ってる、みたいなのもあって。そういうのはすごい良いなって思う。監督によるよね、そういうのは。
ー今後、新しくやってみたいことはありますか。
Shibukawa: 1年くらいかけてじっくり撮影するような、長いスパンの作品はやってみたいよね。ちょっとちがうけど、豊田監督とやってるのはそれに近いのかもしれない。いまも『次元を超える TRANSCENDING DIMENSIONS』っていう映画で全国をまわってて、地方に行って、挨拶して、その後にうまいもん食って飲む。結局、それがいちばん楽しいんだよね。