Shot02_「NEW CLASSIC」No.8
勇気がいるけど、かけてみると驚くほど馴染む。
ーキャリアについても伺いたいのですが、お笑いに目覚めた原点はどこにあったのでしょうか?
South Kaw: 同世代の大阪育ちならみんなそうだと思うんですが、幼少期に『4時ですよーだ』や『ごっつええ感じ』を見て育ったことですね。ダウンタウンさんのお笑いがすごいというのを植え付けられました。そこから姉の影響で、千原兄弟さんなど2丁目劇場で活躍される若手の方々を追いかけるようになり、テレビ番組を観るなら、絶対にお笑いやバラエティという少年時代を過ごしました。
ーはっきりと芸人を目指していたんですか?
South Kaw: ちがいますね。大学を出たら、警察官になろうと思ってました。トラブルが好きなので事件に駆けつけたいなと(笑)。でも、お笑い番組やイベントを観ているうちに、お笑い熱が再燃して、公務員試験を受けるか、お笑いをやろうかと迷って、でも、芸人は無理よなあとは思ってたんですよ。でも、単独ライブの副音声やラジオを聴く中で、放送作家の存在を知ったんです。裏方として芸人と肩を並べてモノづくりができる仕事があるんだと知って、作家志望で松竹芸能の養成所に入りました。
ーそこから舞台に立つ芸人側へ転向したのは?
South Kaw: オーディションの際、社員さんに「いまは作家を募集していないけれど、ピン芸人としてネタをつくるのが作家の下積みになるよ」と言われたのがきっかけです。それでピンネタをつくり始めて、毎週のネタ見せに通い、ライブに出るようになって……と気づけば表に立つ側になっていました。
ーシステマ(殴られても痛くないネタ)をはじめ型破りなスタイルで注目を集めましたが、ご自身の中で転機となった出来事はありましたか?
South Kaw: いろんな出来事があって、いろんな先輩に助けられてきたのはあるんですけど、自分の中で、「あれ、これ俺でもいけんのかな」みたいに思ったことがあって。ずっと自分みたいな人間は売れないだろうなと思ってやってきたんですが、システマをやり始めたとき、吉本の芸人さんたちがめちゃくちゃ爆笑してくれたんですよ。昔から吉本さんに対して「怖くてオモロいから、俺たちのことなんてオモロいと思ってなさそう」という勝手なコンプレックスがあったんです。でも事務所の垣根を越えて笑ってくれたときに、「関係ないんだ、自分がオモロければちゃんと届くんだ」と気づけて。芸歴10年を超えてましたけど、この人たちが笑ってくれるんやったら、全然もしかしたら勝負できるかもみたいな、初めて自分に自信を持てた瞬間でした。
ー型破りなネタの一方で、テレビを拝見していると、周囲の状況を見極めて現場のバランスをちゃんととっているような印象もあります。
South Kaw: 世に出るためには、昔、上岡龍太郎さんが言っていた「芸人が世に出るときには絶対に下品でないと無理」という言葉がずっと頭にあって。正攻法はM-1とかですけど、賞レースで結果が出なくて「もう売れないし無理だな」と芸人をやめる覚悟をした時期があったんです。コロナ禍で「誰かにめちゃくちゃバカなことをやったと言われてもいいや」と開き直って、事務所の悪口やゴシップのネタをしたときに、世間がガッと熱を持って見てくれた。その時「上岡さんの言っていた通りだったな」。
ただ、ぼくも40歳を超えた普通の大人で、仕事に対して自分の我を通すほど若くないんですよね。現場に入ったらディレクターさんの企画も後輩も潰すわけにもいかない。その場その場で自分の中のベストを尽くそうとバランスを取っているだけなんで。たしかに客観的に見ると「悪口言ってたのに急にバランス取り出してんな」と思うけど(笑)、「いや、それ仕事やから」って。大前提となっている核みたいなものは、「その場その場でウケたい」というシンプルな欲求だけ。伏線やメッセージ性といった大きい幹ではなく、チームプレーのときはチーム全体でウケる流れをつくるし、個人で頑張るときはいく。結局、みんなで面白い空間をつくりたいだけなんです。
ー着用いただいた、この太フレームの「No.8」の感想もお願いします。
South Kaw: 個人的には、プライベートで出かけるときにかけたいですね。家族と麦わら帽子をかぶって夏のお出かけに合わせたいです。こういった太フレームは選ぶのに少し勇気がいりますが、かけてみると驚くほど馴染む。アーティスティックな雰囲気がつくれますし、ノーズパッドまで金属で仕上げられていて、満足度がすごく高いです。ここが金属だと、なんかいいメガネかけているなっていう感じがめちゃくちゃします。
ーこの太フレームは鯖江製で職人技術が詰まったモデルです。
South Kaw: 鯖江、いいですよね。いくつか国産も持ってますが、つくりが繊細だなと。普通“メイドインジャパン”は、もっと高いんですけど、これが3万円を切っているというのはすごいです。
ー 最後に、日常の中でメガネを選ぶ際のこだわりや、ファッションへの取り入れ方を教えてください。
South Kaw: 普段は紫外線や目の負担を考えて、太陽光で色が変わる調光レンズを愛用しています。服に合わせて緻密にコーディネートするというよりは、玄関に並べてあるメガネの中から、出かける直前に「今日はこれかな」と直感で選ぶスタイルですね。どんな服を着ていても、最後に直感で選んだお気に入りの一本をかけることで、「よし、これでスタイルが決まったな」と全体をキュッと引き締めてくれる。自分にとってメガネは、日常を出発するための大事なスイッチになっている感覚です。