工場を離れて、四万十の大自然も巡っていただきました。四万十といえば、やはり川、四万十川なのですが、その周りにある山林も、圧倒的な迫力を讃えています。戦後に植えて50年以上経っている木が多いのだとか。そして今も、山奥の間伐が進んでいるエリアにて、ヒノキ、杉などの植林は行われているそうです。
四万十ヒノキを使ったサウナ「SHIMANTO OUCHI」も体験させていただきました。流行りのテントサウナならぬ、移動式のヒノキサウナ小屋です。2人で5分程度で組み立てることができて、折り畳むことで一般的な軽バンに積み込めるそう。
密閉性に問題があるのかなと思いきや、しっかりと発汗できました。サウナ内で使用する薪にもヒノキを有効活用します。前述したように別名「火の木」と呼ばれるぐらい燃焼効率が良く、頼りになる存在なのです。
最後に、あらゆる木材を保管している貯木場も見せていただきました。
これだけの量の丸太、木材を見るのはもちろん初めてで、日本は山の国、森の国、木の国なんだなという思いを新たにしました。間伐材でもこんなに大きなサイズのものもあるのです。いちいち先入観が覆されていく、学びの多い取材になりました。
ここ1〜2年でウッドショックと呼ばれる、木材価格の高騰が起きています。アメリカで膨大な財政出動と低金利政策が行われた結果、リモートワークで自宅にこもるようになった市民が住宅を郊外に新しく購入したり、リフォームを行ったりする流れが進み、住宅建設の需要増が起きました。それにより世界的に木材の需給が逼迫して、木材の価格が上昇しているのだそうです。
この流れは、当然日本国内にも影響してきます。2021年に入ってから、住宅建築などに使用される丸太や製材の輸入価格が上昇しており、この動きに引っ張られ、国内の丸太や製材価格も上昇しています。
日本の住宅の建築に使われる木材の多くが輸入材であることから、輸入材価格高騰をきっかけに、国産材へ切り替えを進めていくべきとの意見もあるようですが、労働力不足などの構造的な問題があり、簡単に国産材の供給を増やすことが難しいようです。
このようにいろいろと国内の林業に問題はあるものの、いま国産材に注目が集まっているのもまた事実。〈SHFW〉のような動きはささやかかもしれませんが、日本の木、木材、そしてヒノキにスポットライトを当てる素晴らしい企画なのではないでしょうか。