〈ロエベ〉を牽引したデザイナー、ジョナサン・アンダーソンの偉業を讃えようと思えば枚挙にいとまがない。
メンズ、ウィメンズのクロスポリネーション(相互交流)、あるいは文化的なアプローチで老舗に大胆にメスを入れたアンダーソンは2015年、メンズ、ウィメンズ両部門でデザイナー・オブ・ザ・イヤー(英国ファッション評議会主宰)を獲得したはじめてのデザイナーとなった。
2025年6月、アンダーソンは〈ディオール(Dior)〉のウィメンズ、メンズ、オートクチュールのクリエイティブ ディレクターに就いた。3部門を率いるポジションを与えられたのはムッシュ ディオール以来となる厚遇だ。メゾンの期待がうかがえるが、蓋を開けてみれば想像のさらに上をいった。
2026年サマー コレクションで注目したのは、18世紀のパリで使われていたタイポグラフィに着想されたシグネチャーだった。大文字と小文字を混ぜたそのシグネチャーは、ミニマリズムの反動から生まれた、モダンな原点回帰。往時の繊細な世界観がアンダーソンの感性でブラッシュアップされたデビューコレクションを象徴していた。
時空を超えるシグネチャーがその存在感を遺憾なく発揮していたのが二つ折りウォレットだ。
マルク・ボアンが1969年に考案した「ディオール オブリーク」。古きよきアイコンをまとったこのウォレットは過去(=ディオール オブリーク)と現在(=機能性)がものの見事に共存していた。橋渡しの役割を担ったのが、フロントにあしらったシグネチャーだった。
コンパートメントは紙幣用コンパートメント2、レシート用スリップポケット2、カードスロット4、スナップ留めマチ付きコイン用コンパートメント1の構成。

