モデルの個性を活かしながら、作り込む部分はしっかりと作り込む。

ヘアメイクアーティストの仕事は文字通り、モデルのヘアスタイルやメイクを整えること。さらには撮影現場でいちばん最初にモデルに接するため、緊張をほぐしながらリラックスしたムードを生み出すのも勝さんの仕事です。
「美容師は目の前にいるお客さんを満足させるのが仕事ですが、ヘアメイクの場合は撮影内容に応じてモデルを美しくすることに加えて、雑誌や広告を見る不特定多数のひとたちに届く作品をつくるのも大事な使命なんです」

もともとは美容師を目指していたという勝さんですが、美容専門学校に通う中で次第にヘアメイクアーティストに対する憧れが高まっていったと話します。
「美容師さんのようにいつも同じスタッフやお客さんと接して、絆を深めていく魅力もあるんですけど、ヘアメイクの仕事ではいろんな現場があって、その時々で関わるスタッフも変わります。それがぼくにとっては刺激になるし、心地がいいんです」


ヘアメイクとして独立してから12年。さまざまな現場を経験してきた勝さんが得意とするのは、「モデルの個性を活かすこと」と話します。
「モデルのパーソナリティは大事にしたいなって思いますね。なので個人的にはナチュラルで、人っぽさが残っているスタイルの方が好みです。だけどそれだけでは仕事にならないので、作り込む部分はしっかりと作り込む。そのバランスを見極めながらやってますね」

勝さんの仕事のスタイルはそれだけではありません。ヘアメイクとして撮影に参加する一方で、手が空いているときは他スタッフのサポート役も積極的に引き受けているのだとか。
「専門学校に通っていたとき、バイトをいくつも掛け持ちしながら学費を稼いでいました。学校の課題もある中で常に時間に追われていたんですけど、とにかく要領よく学業とバイトの両方をこなすことに集中していました。そのときの考えがまだ残っていて、手が空いているときはできることを探すようにしていますね。そうすることで現場が上手く回るし、撮影が巻いたりするんですよ。予定よりも早めに仕事が終わったら、みんな幸せじゃないですか(笑)」

この日も勝さんの奮闘により、終始いい流れで撮影がスムーズに進み、早めの撤収ができた様子。満足げな表情を浮かべながら「寄りたいところがある」と話します。ということで再び「カングー」に乗り込み、新たな目的地を目指します。
