PROFILE
1984年生まれ。静岡県出身。ドメスティックブランドの本店で店長とプレスを兼任してキャリアを築く。その後独立し、2023年秋に日本製の上質でシンプルな日常着を提案するブランド〈ザ・デイ〉を設立。趣味は自転車。ロードバイクやグラベルロードバイク、マウンテンバイクなど5台を所有。街中や川沿いをゆったり走り、目的地までの移動の時間も楽しんでいる。
2着目の「レトロX」。
―自転車が好きとのことですが、どんな楽しみ方をしているんですか?
河内: スピードを楽しむというより、だらだらと街中を散策することが多いですね。でも、明日は日帰りで友達と往復100kmくらい走る予定です。
―100kmも!
河内: 友達と都合が合えば、多摩川の上流だったり埼玉方面に行ってみたりしていて。楽しいですよ。
―ロングライドのどんなところにおもしろさを感じますか?
河内: 自転車ってクルマと違って小回りが効くし、スピードも遅いじゃないですか。だから、クルマだったら一瞬で過ぎ去ってしまう道でも、こんなお店があったんだ、こんな景色を見れるんだって気づきが多いんです。近道や遠回りをしやすいのも好きですね。ゴールとなる目的地を決めるけど、ふらふらと寄り道して移動を楽しんでいるから、到着予定時間は遅くなっちゃいます(笑)。
―移動を楽しむという考え方がいいですね。自転車に乗るときは、どんなウエアを着ているんですか?
河内: 基本的に自分で作っている服を着ていますが、そこに組み合わせているのが〈パタゴニア〉。ほかのアウトドアブランドを着ることはなくて、〈パタゴニア〉に特化しています。
―例えば、どんなアイテムを?
河内: 春先から夏まで、「バギーズ・ショーツ」を履いていました。トップスはTシャツのうえに「フーディニ」を羽織っていて。その季節に自転車に乗るときは「フーディニ」が最強だと思っています。ぼくの周りは、みんな着ていますよ。色が被んないようにしています(笑)。
―〈パタゴニア〉が好きなんですね。
河内: 〈パタゴニア〉がぼくの1番好きなブランドだから、たくさん持っています。昔からいろいろ買っているけど、本格的に惹かれたのは“Worn Wearプログラム”が始まってから。
―“Worn Wearプログラム”は、“新品よりもずっといい”をコンセプトに2013年から取り組んでいるプログラム。〈パタゴニア〉の製品をより長く使うためのお手入れや修理を提供し、愛着を持って長く使い続けることの価値や喜びを共有しています。不要となった製品の買い取りや再販も行っています。
河内: オフィシャルが、まだまだ着れるウエアを買い取って販売するという姿勢に面を食らっちゃって。着古されたものも美しく見えるし、誰かのストーリーを受け継ぐという考え方が素敵だと思います。
―今日は私物の〈パタゴニア〉のアイテムをお持ちいただきました。「ユーレックス・アップサイクル・カバー」もアップサイクルで作られたものですね。
河内: これはウエットスーツの余り生地を使って作られたものなんです。PCとか、いろんなものを収納しやすくて気に入っています。
―古いカタログもお持ちいただいたようで。
河内: カタログは「レトロX」が最初に発売された’90年代前半のものを持ってきました。〈パタゴニア〉のカタログが大好きなんですよ。写真からフォントまで全部かっこいい。フィールドレポートっていう〈パタゴニア〉の製品を着て行ったアウトドアの記事も掲載されていて、自分が旅した気分になるんです。
―そして、普段から愛用している「レトロX」も。
河内: 98年製の「レトロX」。じつは2着目なんですよ。まったく同じものを持っていたけど着倒しちゃって、また買いました。このHunterというカラーリングが大好きなんです。
―ほかにどんなところが気に入っていますか?
河内: これを手に入れたばかりの頃、日帰りで京都へ観光に行ったんですよ。真冬で雪が降っていて、「レトロX」のなかにはスエットしか着ていなかったのに、とにかく暖かかった。寒いなか1日中歩き回っていたら、暑くなってフロントのファスナーを開けたくらい。風を通さないから、冬でもすごく快適です。