
MONO NO AWARE
八丈島出身の玉置周啓、加藤成順と共に大学で出会った同級生の竹田綾子、柳澤豊で構成される。FUJI ROCK FESTIVAL’16「ROOKIE A GO-GO」に出演。2017年は、RED MARQUEEの3日目トップバッターを飾る。

左前:加藤成順(Gt)、右前:玉置周啓(Vo&Gt)、左後:竹田綾子(Ba)、左中:柳澤豊(Dr)
こんなに近くに人がいるのにSNSに全て語りかける、というような現象を歌っているんです。
朝一のレッドマーキー、どうでしたか?
玉置眠かったです。
加藤『me to me』のはじまりはすごく気持ちよかったですね。
『me to me』は1曲目っぽくないと思ったんですけど、「ライブを撮影してSNSに投稿する」という現象とリンクしているなと。そういう意図はありましたか?
玉置それが・・・ないんですよ(笑)。
加藤でも、その考えってすごくおもしろいですね。
玉置今日からそういうことにします。なぜあの曲からはじめたかと言うと、みんなも眠いだろうし、いきなり速いテンポじゃなくてゆったりした『me to me』がベストだろうなと。

改めて、『me to me』という曲について教えていただけますか?
玉置強いて言うならば、さっき言っていただいたみたいに・・・SNS・・・えっと・・・。

うまいこと言おうとしないでいいんですよ(笑)。
玉置すみません、何も考えられなかったです(笑)。『me to me』は、バスの中とか電車の中とか、こんなに近くに人がいるのになぜかSNSに全て語りかける、というような現象を歌っているんです。
SNSに自分たちの動画とか写真が上がるってことに関してはどう考えますか?
玉置僕らは売れないとここにいられなくなってしまうので、ライブをSNSにあげてもらって、それを誰かが見てフォロワーが増えたら、ラッキーってかんじですね。抵抗はないです。
柳澤SNSで見かけると嬉しいよね
玉置エゴサで外音のチェックしたりもするしね。
エゴサで外音のチェックをするんですか?
玉置お客さんが撮ってくれた動画で、あーこんな風に聴こえてたんだ!って確認することがあります。あ、意外とバランス良かったな、とかって(笑)
加藤でも、お客さんとして観ている時は嫌だったかも。人それぞれ楽しみ方はありますが、生の音を聞きに来てる中で動画を撮ってるのを見ると少し悲しくなります。現場で知らない人とライブを共有する方が楽しいと思うので。
玉置ライブの楽しみ方が、その場で全身使って楽しむってことから、保存して後から見直して楽しむことに変わりつつあるのかもしれないですね。

人は成功すれば寄ってくるし、こければ去っていく。
フジロックでのライブは、何か特別なことがありましたか?
柳澤俺、けっこうエゴサするほうなんですけど、普段見たことのない人がツイートしてくれてました。意外といろんな人が観てくれてたんだなって思いました。

玉置ツイッターでエゴサして、僕らの他にどんなところ回っているのかルートを見るのもおもしろかったよね。邦楽だけの人もいるけど、僕らを見てDYGLも見てからのアウスゲイル行くんだ!みたいな。だから、洋楽が好きな人に観てもらえた可能性もあるのかなって。
MONO NO AWAREって、すなわち諸行無常じゃないですか、変化そのものを表現する部分が少なからずあるように思います。
玉置芥川龍之介の『杜子春』って話が大好きなんですけど、人は成功すれば寄ってくるし、こければ去っていく。だから、こうして今ここにいさせてもらえるのもラッキーで、ある意味一時的なことなのかもしれません。

バンドとしての共通意識的なものはありますか?
玉置色々な意味で、バランス感覚に関してはバンド内で共有しています。見てくれる人がいて成り立つものなので。これ以上いったらダメだな、みたいな感覚は共有していますね。
フジロックはどのように過ごしましたか?
玉置MCでも話したんですが、昨年はクリスタルパレスでサークルモッシュに遭遇したんですよ。サンダルが片足脱げた状態で巻き込まれて、焦りながらモッシュの中心を見たら俺のサンダルが落ちてました。
加藤今年もあるかなって見にいったんですけど、起きなかったですね。
竹田周啓(玉置)は、「雨ふってるからこれ持ってて!」とかいって財布も携帯も全部渡してどこか行くんですよ。
玉置今回、カッパを忘れてしまって・・・。荷物は濡れていいものだけ・・・。って言っても何もないんですよね。金も持ってなくて、喉がかわいたら雨を飲んで。

加藤本当に雨を飲んでました。オウガユーアスホール観てるとき、ずっと上向いて口開けてましたよ。
玉置あれはオウガがカッコよかったからですね。もう濡れてもなんでもいいや、って思ったんです。

加藤振り返ると、ほとんど4人ではいなかったかもね。
竹田最初だけかな?でもThe XXも見たし、バックホーンも一緒にいたよ。
玉置バックホーンの時は、『コバルトブルー』やってんぞ!って、すごいスピードで前の方に行きましたね。なんか知らない男二人と「オオオ!」って盛り上がって。
成順(加藤)、持ち上げられてましたね。僕はそういう盛り上がり方はどうなのかなと思ってたんですよ。別にライブじゃなくていいじゃん、ってなっちゃうんで。でもそのときばかりは、そこにバックホーンがいて、集ってる人たちからは尋常ならざるバックホーン愛を感じました。

まさしくライブの醍醐味ですよね。
加藤そうですね!
玉置だから、少しグッときました。批判的に捉えてたけどちょっと違ったなーって考え直しましたね。豊(柳澤)はけっこう、一人で修行みたいにライブを観てたよね。
柳澤場所とか、時間とか、体力も計算しないで、とにかくひたすら終わったらすぐ次!みたいな感じで回ってました。
玉置いっしょに飯食ったときも、すぐ移動しちゃってたもんね。おれがまだスパゲッティすすってるのに。豊はストイックなんですよね。ドラム練習用のパットを二つ持ち歩いていて、一つは楽屋用、もう一つは助手席に置いて信号待ちの時に叩き出すんですよ。
バンドメンバーそれぞれの個性で、うまくバランス取れている感じがします。『わかってるつもり』を聴いて、少し泣いたんですよ(笑)。しかもデスクで。
加藤本当ですか!

人を理解するということはどこまで行っても「つもり」の域を超えられないんですよね。頭の中を見せ合うことはできない。だから、信じるということをどれだけ強く、精度高く行うか。この曲は人と人の関係性の本質を描いているなと。
玉置ありがとうございます。『わかってるつもり』は当時の恋人と一緒に見た様々な景色から書いているんです。曲を聴けばその場所のことが思い出せる、情景が浮かんでくるような。だから、写真アルバムみたいな曲ですね。・・・うーん、この話をしていると悲しくて泣きそうになりますね(笑)。おっしゃる通りで、わかるって完全にはできないんですよね。

普段、歌詞はどう書いているんですか?
玉置歌詞と、曲と、全員の演奏パートが同時にできていく。アルバムの半分くらいはそうやってできました。残りの半分は、鼻歌からはじめて、その時の音の響きに歌詞をあてはめていく。だから、前者は、瞬間瞬間でいいな、と思った言葉を。あとの半分は、少し考えて書いているかもしれないですね。どの曲がどう、とか思い出せないんですけどね(笑)。

母親に向けた歌をラブソングに変換して書いてみようと思って。
言葉を、音と意味とビジュアルでも遊んでいるんですよね。かと思いきや二段熟カレーみたいな唐突なフレーズもある(笑)。
加藤あれ歌詞カードには載せてないんですよ(笑)。
玉置音楽にはやっぱり少なからず刺激が求められているから、コミックバンドみたいな、普通のバンドが言わないことって注目を集めますよね。僕は根っからのおちゃらけ体質なので、決め台詞を決め台詞っぽくやるのが、恥ずかしくてできないんですよ。そういう意味での、二段熟カレーですね。ただ、そのフレーズを入れたのにも、理由はあるんですけど。



教えてください。
玉置それはですね・・・なんだっけ・・・。
一同(笑)
玉置あれは、食のありがたみを歌にしたくて歌詞を書きました。恋人が作ってくれたご飯はあったかいねって話が進んでいって、結果これレトルトカレーだったのかよ!ってオチのストーリーがフワフワとあったんですが、二段熟カレーはただのカレールーなんですよね。レトルトじゃない。気づいたんですけど、もう引き返せないところまできてたので、まあいっかって。あとは丸美屋とか、クックドゥーとか、入れたい単語をパズルみたいにはめこんでいきました。

ブーゲンビリヤって曲は、どう作られたんですか?
玉置僕の母親が好きで、ブーゲンビリヤが家にたくさんあったんですよ。母親に向けた歌をラブソングに変換して書いてみようと思って。
加藤うちの母親も好きでしたね。
玉置島の風景とかを思い出すよね、こっち(都会)に出てきたけれど、思い出すよ、みたいな。

村上龍のコインロッカーベイビーズって小説があって、コインロッカーに遺棄された双子の話なんですけど、ブーゲンビリヤの花に包まれて捨てられていたんですよ。だから、その捨てられた子にとっては、ブーゲンビリヤはまさしく母の記憶なんですよね。
玉置それです。
一同(笑)
玉置村上龍さんは『限りなく透明に近いブルー』と『空港にて』しか読んだことがないので、読んでみます。
加藤すごく気になりますね。
いろんなギタリストが集まって代わりにやるっていうのが、ジャンプっぽかったですね
フジロックフェスティバル中、他バンドとの交流はありましたか?
玉置そうですね。ヨギーとかネバヤンとは話しましたが・・・。
加藤あんまり友達いないんですよ。
竹田あ、サンダーキャットとサービスエリアで会いました。

サンダーキャットと友達に(笑)。
玉置そうですね。彼のユーモアセンスに共感しました。よくわからないですけど。あと、今回Tempalayのギターボーカルの綾斗くんが怪我でギターを弾けなくて。いろんなギタリストが集まって代わりにやるっていうのが、なんていうか・・・ジャンプっぽかったですね、僕そういうくさいのが苦手だったんですけど・・・素直にいいな、って思いました。

前夜祭で指を折ってしまったんですよね。
玉置そうです。他バンドのギタリストが一曲ずつ代わりにやってて。インディーズバンドばかりですけど、「やつらがきた!!!」みたいなかんじがありました(笑)。
竹田あれ、良かったよね(笑)。
玉置インディーシーンが好きな人なら、あ!ドミコの人だ!とかなったんじゃないかな。

熱くなりますねそれは。そういう具合で、バンドシーンを盛り上げる、みたいな意識はないですか?
玉置それは、あんまりないですね。うらやましくもあるんですけど、相容れない思いもあると思います。楽しくやって、聴いてくれる人が増えてきてくれたので。僕らは自分たちのペースでやるのがいいのかなと。

やっぱり足元気にするだけで全然楽しめないじゃん。
キーンのシューズはどうでした?
竹田別のシューズで靴ずれしたんですけど、キーンは全くすれませんでした。
加藤バックホーンのモッシュも全く問題なかったですね。ずっと履いて過ごしました。
ファッションというよりは、遊ぶための道具として出しているので、フェスにはぴったりですね。
柳澤フジロックだからこそ、っていう、環境にはすごく合っていました。最高でしたね。

グリーンステージめちゃくちゃでしたけど、大丈夫でしたか?
加藤泥水がとんでもなく臭かったですね。
玉置でもキーンはガンガン洗えるから気にならないし、泥だまりのところはみんな避けるからスペースが空いていて、ガンガン前に行けたよね。やっぱり足元気にするだけで全然楽しめるじゃん。
加藤助かったね。
竹田助かった。

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