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金子恵治とイタリア。25年の時を経てみる、現地の“いま”。第1回:装う国、イタリア。
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金子恵治とイタリア。25年の時を経てみる、現地の“いま”。
第1回:装う国、イタリア。

ぼくらはイタリアについて、どれほどのことを知っているだろう? 身近なのはファッションや料理だけど、彼の地でどんな文化が育まれ、人々がどんな日常を送り、どんな瞬間に笑顔になるのかは、案外知りません。 そんなイタリアについて、「いま、いちばん気になる国なんです」と話すのは、ファッションディレクターの金子恵治さん。バッグブランド〈フェリージ(Felisi)〉の日本のコンセプターとなった彼に、約25年ぶりに訪れた現地の“いま”をたっぷりと語ってもらいましょう。全5回からなる連載企画。第1回は、かつて通った「ピッティ」の記憶を起点に、いまのイタリアを見つめ直します。

装いに対するこだわりや文化が脈々と受け継がれている。

日本の文化との違いを身をもって感じたという金子さん。それは「ピッティ」の会場内に限らず、「フィレンツェの街中でもそうだった」と続けます。街ゆくひとの着こなしや、気になる食文化についても、当たり前だけど「全然違った」そう。

ー本場のイタリア料理はどうだったんですか?

金子:日本で食べるイタリアンが、如何にデザインされた味なのかということを知りました。それは決して悪い意味ではなくて、ある種、日本のイタリアンシェフが日本人の口に合う味を追求していったということだと思うんです。本場のイタリア料理はもっと素っ気ないというか、すごくシンプルなんですよ。

ー日本は出汁を取ったり、たくさんの食材を使って複雑な味を表現するのに対して、イタリアはすごくシンプルで食材の旨味を引き出すような調理法をすると聞いたことがあります。ある意味では引き算をしているというか、そのぶん食材へのこだわりが強いそうです。

金子:本当にそんな感じですね。ステーキも本当に味付けがシンプルで、塩だけで食べるみたいな。きっと味わい方が違うんでしょうね。最初はそれを知らなかったから、ちょっと物足りなかったんですよ。

ー料理はピザやパスタなど、ぼくらがイメージするようなメニューが多いんですか?

金子:そうですね。特別なものはあまりなくて、思い返せば、やっぱり食材を食べる感覚なのかなと。現地のひとたちは、お酒も食事を美味しく味わうために飲んでいる印象がありました。だからランチでも平気で飲むんですよ。

ーレストランの雰囲気はどんな感じなんですか?

金子:すごくカジュアルですよ。かしこまった雰囲気はなく、みんな楽しそうに食事をしていました。格好もみんな普段通りという感じでした。ただ、やっぱりみんな服の着方は上手でしたね。

ーロンドンやパリなどの街のムードはなんとなくイメージしやすいですが、フィレンツェの街、とくに道行くひとたちのスタイルってどんな感じなんですか?

金子:ファストファッションの影響をあまり感じなかったですね。それはやっぱり服をつくれる国だからだと思います。フランス人がチェーンのカフェでコーヒーを飲まないのと一緒で、イタリア人もきちんとつくられた服を着ている印象があります。

ー装うための下地がきちんとしているというか。

金子:ファッションに対する水準がやっぱり高いんですよね。選び方にしても、それをどう着るかにしても。振り返ってみると、変な格好をしているひとも全然いなかったですね。それはやっぱり、装いに対するこだわりというか、文化というものが脈々と受け継がれている証拠だと思います。

金子:ぼくがフェラーラで見つけた下着屋さんも、創業から150年も経っている家族経営のお店なんです。そういうところが残っているっていうことは、やっぱり着ることに対するこだわりがあるっていうことだと思うんですよ。

ーそうした小商いもまだ多いんですか?

金子:どうなんでしょう。フィレンツェにも小さな用品店がたくさんあったんですけど、どうやって経営が成立しているのかわからないところが多くて。きっと代々買ってくれる顧客さんがいるんだと思うんですけど。

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