ビーフ&ブロッコリーは絶対にニューヨークのカラー。
―USの人たちにウィートカラーが響く理由は何だと思いますか?
大橋:きっと汚れやすいからじゃないですか。白い「エアフォース1」とかもそうだと思うんですけど、汚れやすいからこそピンピン(の新品)で履いてるのがすごく目立つから、それが一番の理由だと思います。
―黒だときれいさを主張しにくいんですね。
大橋:ですし、黒い6インチとか「エアフォース1」を履いてる人は、向こうで見かけてもやっぱり不良だな…って感じます。
―え! なぜですか?
大橋:実動感じゃないですかね(笑)。悪いことをする人たちって、ちゃんと動ける格好をするじゃないですか。
―潜んで暗躍する、よりシリアスなストリートのお話ですね。もう少しオーバーグラウンドなほうのお話に戻しましょう(笑)。
大橋:(笑)。でも、ウィートっていう色がアメリカ全域できっと人気だったのに対して、「フィールドブーツ」のビーフ&ブロッコリーっていうカラーだけはニューヨークで異常に人気だったみたいです。最初にお話しした一番初期に履いていた人たち…ビリー・ガイとかの影響もその一因だと思うんですけど。
―サウスブロンクスのハスラーですよね。
大橋:そうです。ああいう人たちが’88年ごろに履いていたのが最初なのかな。ビーフ&ブロッコリーにサンダンス、セサミチキンとかのカラーの〈ティンバーランド〉を。(その時代のニューヨークが舞台になった)映画『ペイド イン フル』のなかでも、キャムロンが演じるリコがビーフ&ブロッコリーを履いてたり。そうやって、初期に影響力の高い人たちが履いていて、それでビーフ&ブロッコリーが人気になっていったのかなと思います。
あとはカラーをバチバチに使うようなノリはサウスのファッションとかから来ていたり、西(海岸)でいったら特定の色だけを着ている人たちがいたりする一方で、自分にとってはニューヨークのファッションは落ち着いたトーン、というのがひとつあって、ビーブロはそれと相性がいいと思います。そう考えるとビーフ&ブロッコリーは絶対にニューヨークのカラーですね。
―そんな都市部のお話を聞かせていただいているのに、今回の撮影はあえてそこから隔たる湖畔でさせていただきました。
大橋:でも、もともと自分はファッションのためにつくられたものにそんなに興味がなくて、特定の用途…例えばワークだったり、ミリタリーであったり、そういうものをファッションに落とし込むのが好きなんです。もともと山で使うためにつくられた服や靴なんかを街でずっと楽しんでいたんですけど、「これは本来の場所でもやっぱり使えるんだ」っていうのを自分でも確かめたいという気持ちが昔からあって。自分の文化のなかにはそれまでなかったことだったから、最初はこういうブーツを自然のなかで履くことに抵抗もあったんですけど。
―それでも実際にやってみると違う景色は見えたものですか?
大橋:そうですね。自分の好きなものって、本来はここから来たんだなっていうことが再認識できるし、この「フィールドブーツ」も例えば今日みたいに小雨や朝露で濡れたり、土で汚れたりするじゃないですか? そうなったときに、この靴が本来持っているラギッドな魅力みたいなものがまた見えてくるし、そうやって魅力を再確認できるのが楽しくてより愛着が湧きます。さすがに山に登ったりするなら紐は締めると思うんですけど、そうじゃない限りは基本的にいままで街で履いていた通りのスタイルで、紐を緩めて自然のなかでも遊びたいなっていう気持ちです。
―なるほど。今日合わせたパンツはどこのものですか?
大橋:これは〈ラルフローレン〉です。2010年ぐらいに買い付けで店に仕入れて、自分でもそのときに買いました。穿きすぎて裾も擦り切れちゃってますけどね。「フィールドブーツ」のビーフ&ブロッコリーの色をウェアで拾う、みたいな選択肢もあるんですけど、今日は自然のなかで撮影を、ということだったから「フィールドブーツ」がオリジナルで出た時代の雰囲気に寄せたいなと思いました。色で合わせるとかじゃなく、古いアメカジというか、そういうムードに。