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essential designs – あのヒトの欠かせないモノ –Case08 西野大士とニートのチノパンツ

essential designs – あのヒトの欠かせないモノ –
Case08 西野大士とニートのチノパンツ

あのヒトにとって、なくてはならないモノ。その必要不可欠な理由を知れば、モノ選びの視点や暮らしのこだわりが見えてくる。服も、日用品も、仕事道具も。ひとの数だけあるエッセンシャルのかたち。その一つひとつの裏側にあるストーリーを辿っていきます。第8回は、西野大士さんとニートのチノパンツ。

PROFILE

西野大士

1983年生まれ、兵庫県淡路島出身。〈ブルックス ブラザーズ〉のプレスを経て独立。2015年にパンツ専業ブランド〈ニート〉を立ち上げる。現在はプレスオフィス「にしのや」の経営も手掛け、国内外20以上のブランドのPR業務も担当。元小学校教師という異色の経歴の持ち主。
Instagram:@dddddaishi

エッセンシャルとは答え合わせである。

ーエッセンシャルという言葉から、西野さんは何を思い浮かべましたか?

西野: う~ん、めちゃくちゃ難しいですね…。これまで数多の取材を受けてきて、毎回100点満点の回答が自動的に出てくることから「AIを使っているのでは?」と勘ぐられるくらいのぼくが、いまかなり困惑しています(笑)。

ー(笑)。日本語の意味としては“必要不可欠”になるのですが、いかがでしょうか。

西野: そうなると…自分にとって“エッセンシャルなモノはない”説もありますよね。

ーと、仰いますと?

西野: 人生における必要不可欠なモノって色々とありますけど、中でも服や身の回りのモノに限定するなら「かつてエッセンシャルだと思っていたけれど10年後には違っていた」みたいな経験が結構ありまして。たとえば〈ニューバランス(New Balance)〉のスニーカーなんかは、まさにソレで。

ー以前は〈ニューバランス〉の熱狂的ファンとして、メディアにも登場されていました。

西野: そうそう。「993」がとにかく好きで毎日愛用していたし、ブラックとネイビーを3足ずつストックまでしてたんです。なんなら「10年ごとに履き替えて70歳になるまで履き続ける!」なんて意気込んでいたのに、いまは全然履いてないし、もはや手放してもイイかなって気持ちになっていて。

ー時と共に人は変わるものですから、宗旨変わりなんか当然と言えば当然かと。

西野: また履きたくなるかもしれないので手放してはいませんが、いつかはそのときがくるのかなって。ということは逆に言うと、自分にとってのエッセンシャルは、いつまでも手放したくならないモノなのかも。しかもそうなるかどうかは、手に入れた瞬間には分からなくて、1年後なのか10年後なのか、気付いたら手放さずにいたモノ。そういう意味では“エッセンシャルとは答え合わせ”なんじゃないかなって。

西野さんのアトリエのそこここに散らばる衣服を見れば、最近の気分がよくわかる。足元はどうやらヴィンテージの〈ヴァンズ〉が優勢。

ー名言が生まれました。そんな西野さんのモノ選びにおけるこだわりを教えてください。

西野: ファッションに関していえば、根幹は昔から変わっていません。『Boon』などのファッション誌を読んで古着に目覚めて、大学時代に古着屋でバイトし始めるんですが、その頃はアメリカでもカジュアルな西海岸が好きでした。〈ヴァンズ〉〈ハンテン〉〈Op〉とか。で、そこから〈ブルックスブラザーズ〉など東海岸のトラッドにも興味が広がって。さらにちょっとモードやヨーロッパのクラシックを取り入れながら変化しつつ、アメリカントラッドをベースとしたいまのスタイルになりました。

ー西野さんは「カッコつけたくない、アメリカの普通のおじさんのようなラフでさりげない格好を目指している」とメディアのインタビューでも話されています。

西野: 〈リゾルト(RESOLUTE)〉の林さんのようなスタイルが理想ですね。シャツとデニムパンツだけの引き算しまくったシンプルな組み合わせでカッコつけていないのに、めちゃくちゃカッコイイ。でもそれって林さん自身の雰囲気やスタイルの良さも多分にあって、いまの自分が真似してもそうはならない。なので、そこに近づけるために、ぼくの場合は足し算をしています。

ーインスタで毎日更新されているOOTD(Outfit Of The Day=本日のコーデ)も、適当な足し算で組んでいるように見えて、実は絶妙なバランスで成立しているというのがわかります。

西野: アレ、めちゃくちゃ難しいんですよ。計算してないように見せるための計算をしているので。それが周囲にバレるのが恥ずかしいので、デザインされた服も一切着ないようにしています。「道具としてのディティールがデザイン的要素として捉えることもできる」という機能美的なデザインはアリなんですけどね。

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