FEATURE
突き進め、表現者たちよ。菅田将暉と仲野太賀が見据えるクリエイションの光。
映画『タロウのバカ』

突き進め、表現者たちよ。菅田将暉と仲野太賀が見据えるクリエイションの光。

いまを生きる若者と大人、日本社会、衝動、煌めき、そのすべてが真っ向から映し出される映画『タロウのバカ』が9月6日(金)に公開されます。本作は『ゲルマニウムの夜(2005)』、『まほろ駅前多田便利軒(2011)』など数々の話題作において “人間” と向き合ってきた大森立嗣監督の最新作であり、彼自身が20年前に書いた脚本をもとに蘇らせた実質的な処女作でもあります。気鋭の新人・YOSHIと共に主演を務めたのは、菅田将暉と仲野太賀。YOSHIについて、そして、ふたりが挑み続ける “表現” について迫りました。

  • Photo_Baker Taro
  • Styling_Shogo Ito (菅田将暉)
  • Styling_Dai Ishii (仲野太賀)
  • Hair & Make-up_Eito Furukubo(菅田将暉)
  • Hair & Make-up_Masaki Takahashi (仲野太賀)
  • Text_Saori Uemura
  • Edit_Rei Kawahara

自分が本当にやりたいことって、なんだろう論争。

ー 早い段階から俳優という “やりたい表現” が見つかったおふたりですが、その根幹があるからこそ、音楽をつくったり写真を撮ったり、活動範囲が広がっていったのでしょうか?

菅田:なんだろうね。確かにそうやって改めて言われると…まずやりたいことを見つけた実感ってある?

仲野:やりたいことを見つけた実感は、ない。

菅田:ないよね。もちろん俳優はやりたいことではあるんだけど。

仲野:うん、しがみついている、という感覚はないな。

菅田:ただ、なんかそこにはプライドもあって。やるからには「蹴散らしてやんぞ!」みたいな気持ちもあって。

ー やるからには世の人々を幸福にしたいとか、そういったことも考えるんでしょうか。

仲野:うーん、そんな大きなことまでは考えないんだけど。

菅田:だよね。もう「これ太賀笑ってくれるかな」とか、「YOSHI、かっけえって言うかな?」とか。ほんとそれくらいの距離感だったりもするんですけどね、なんだろうな。この「やりたいこと論争」ってたぶん平成からだよね?

仲野:そうなの?

菅田:そうじゃない?

仲野:たしかにやりたいことが見つからない人が増えたからこそ、そういう話になるんだもんね。

菅田:多分その発想が出てくるってことは、それだけ選択肢があるっていうのが前提じゃん。たぶんいまは “情報” が多いからだよね。昔は情報が少なくて、自分で探すしか無かっただろうから。やりたいことがないっていうか、多分もう選択の余地すら無かったんじゃないかな。

仲野:いま、やろうと思えばなんでもできるしね。動画撮れば、ユーチューバーにもすぐなれるじゃん。

菅田:なれるなれる。自分で録音した音楽をネット上にアップすれば世界で聴いてもらえるよね。でも、だからこそ何をしていいのかわかんないってのもわかる。だから大変な時代だと思う。俺らはギリギリ世代的に、ちょっとだけ今より早い時期に生まれたんだよね。

仲野:ちょっとそういう意味ではありがたい時だったのかもしんないね。

INFORMATION

タロウのバカ

9月6日(金)テアトル新宿ほか全国ロードショー
監督・脚本・編集:大森立嗣
音楽:大友良英
出演:YOSHI 菅田将暉 仲野大賀 奥野瑛太 豊田エリー 植田紗々 國村 隼
(c)2019 映画「タロウのバカ」製作委員会
配給:東京テアトル
www.taro-baka.jp