自分が本当にやりたいことって、なんだろう論争。
ー 早い段階から俳優という “やりたい表現” が見つかったおふたりですが、その根幹があるからこそ、音楽をつくったり写真を撮ったり、活動範囲が広がっていったのでしょうか?
菅田:なんだろうね。確かにそうやって改めて言われると…まずやりたいことを見つけた実感ってある?
仲野:やりたいことを見つけた実感は、ない。
菅田:ないよね。もちろん俳優はやりたいことではあるんだけど。
仲野:うん、しがみついている、という感覚はないな。
菅田:ただ、なんかそこにはプライドもあって。やるからには「蹴散らしてやんぞ!」みたいな気持ちもあって。
ー やるからには世の人々を幸福にしたいとか、そういったことも考えるんでしょうか。
仲野:うーん、そんな大きなことまでは考えないんだけど。
菅田:だよね。もう「これ太賀笑ってくれるかな」とか、「YOSHI、かっけえって言うかな?」とか。ほんとそれくらいの距離感だったりもするんですけどね、なんだろうな。この「やりたいこと論争」ってたぶん平成からだよね?
仲野:そうなの?
菅田:そうじゃない?
仲野:たしかにやりたいことが見つからない人が増えたからこそ、そういう話になるんだもんね。

菅田:多分その発想が出てくるってことは、それだけ選択肢があるっていうのが前提じゃん。たぶんいまは “情報” が多いからだよね。昔は情報が少なくて、自分で探すしか無かっただろうから。やりたいことがないっていうか、多分もう選択の余地すら無かったんじゃないかな。
仲野:いま、やろうと思えばなんでもできるしね。動画撮れば、ユーチューバーにもすぐなれるじゃん。
菅田:なれるなれる。自分で録音した音楽をネット上にアップすれば世界で聴いてもらえるよね。でも、だからこそ何をしていいのかわかんないってのもわかる。だから大変な時代だと思う。俺らはギリギリ世代的に、ちょっとだけ今より早い時期に生まれたんだよね。
仲野:ちょっとそういう意味ではありがたい時だったのかもしんないね。