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量こそ増えれど、変わらない荷物。金子恵治(L’ECHOPPE)
〜PACK FOR LIFE〜 OUTDOOR PRODUCTS

量こそ増えれど、変わらない荷物。
金子恵治(L’ECHOPPE)

レショップがちょっと特殊なお店だということは、一度足を運んでラックに並ぶ服を一瞥したことがある人たちなら共感してくれるでしょう。その商品たちは、懐かしさを感じさせつつ、妙に新鮮にも感じられます。そして、そんなショップの色は、そのまま同店を率いる金子恵治さんの個性にも当てはまります。彼はこれまでにどんな景色を見て、そこから何を得てきたのか。レショップと所縁の深い〈OUTDOOR PRODUCTS(アウトドアプロダクツ)〉が掲げる「PACK FOR LIFE」というテーマになぞらえて、これまでのことをゆっくりと振り返ってもらいました。

  • Photo_Kosuke Matsuki
  • Text_Rui Konno
  • Edit_Shinri Kobayashi

歳を取ると感覚が鈍くなると思っていたけど、むしろ逆。

ー 「レショップ」のスタッフはどんな基準で採用されているんですか?

金子:僕もそうですけど、オールマイティな人にはあんまり魅力を感じないんです。それよりも、ピーキー(ピンポイントで専門的)な方が好き。今日いるスタッフもネイティブアメリカンのものが絶対的に好きで、その分野は「コイツに任せれば大丈夫」っていうような人だったり。みんな何かに特化していますね。そういういろんな“得意”の集合体のようなチームが「レショップ」らしいと僕は思っています。ヨーロッパのことは全然知らないけど、ナバホの話だけは誰より詳しいとかね。その方が、気持ちいいですよね。僕は歳が上な分、あらゆるものに偏ってきたと言うか、彼らが夢中なものをほとんど通ってきてはいますけど。やっぱり統括するために、僕は何でも知ってなきゃいけないけど、彼らみたいな人たちがショップにいることが大事なのかなと思っています。

ー それを踏まえると、レショップの〈アウトドアプロダクツ〉への別注は金子さんの偏りを象徴してるものかもしれないですね。

金子:そうかも知れません。そもそも、お陰様ですでにこれまでの日本製の別注がめちゃくちゃ売れてるタイミングで、次はアメリカ製の別注ものを出そうっていうのは、普通あんまり考えないと思うんです。あくまでも感覚というか、フィーリング的なところだし、クオリティも日本製より確実に低いので(笑)、普通に会社にプレゼンしなきゃいけないんだったら通しようがない話ですし。だけど、そこが好きだっていうのに共感してくれる人がたくさんいた。実は、そうなることは肌感でわかってたんです。15、16年前は僕みたいな人がいっぱいいて、僕はそこの生き残りみたいな感じ。同年代の人はほとんどこういう仕事を辞めちゃってるとか、昔のままで同じことだけやってる人だったりとか。僕と同じようなことをやる人がまったくいなくなっちゃったんで、今はやりやすくてしょうがないです(笑)。そこがちゃんとビジネスになっていくっていうのがキーですよね。経験が増えると引き出しが増えるから、どんな角度からでも新しいことができる。なんとなく、歳を食ってくると感覚も鈍くなって、新しいものをつくったり、時代に合わせたりしていくのが難しくなるのかなと以前は思ってたんですけど、今はどんどん飛躍してて、やりたいものもどんどん出てくるんです。

ー 長年洋服やファッションに触れていて、熱が冷めてしまったことはないんですか?

金子:正直、ありますよ。僕、今のお店をやる前に一時だけ別の会社にいて、海外デザイナーのプロジェクトに参加したことがあるんです。その頃、僕はとにかくネタを出さなきゃいけない立場で、それがあまりにも仕事的と言うか、言語的にもそれこそ小学生にも伝わるようなプレゼンをして、上に通して行かなきゃいけないっていうことが増えて、あまり服を趣味として見れなくなっていた時期だったと思います。自分が情報屋みたいに感じられて。

ー “商材としてのファッション”っていう側面が強くなったのかもしれないですね。

金子:そうだったんでしょうね。元々、今と同じベイクルーズにいたときの何が良かったかって、「これいいよね」って言うと、「あ、いいっすねぇ」っていう風に、何も語らなくてもみんなが感覚を共有できたこと。それがいざ転職してみたら、「こんなとこから説明しないとわかんないの!?」っていうことばっかりで。色々リサーチして、「こういう実例がありますので……」っていう風にしなきゃいけなくて。それまで、そんなことやったことなかったんで(笑)。そんなときに古巣のベイクルーズが声を掛けてくれて。「格好いいお店を作りたい」って。「お前しかわからないだろうから、やってくれないか」って言ってくれたんです。だけど、僕がベイクルーズにずっといたら、多分「レショップ」みたいなお店はできなかったと思うんですよ。一度外に出て他の世界を覗いて、いろんな仕事をしたから、きっと今の形があるんだと思います。

INFORMATION

アウトドアプロダクツ
カスタマーセンター

電話:06-6948-0152
www.outdoorproducts.jp

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