外を知りたいという思いがあってコラボレーションをはじめた。
ー 〈リーボック〉というスポーツブランドに対してはどんなイメージがありましたか?
大北:いなたさがありますよね(笑)、もちろんいい意味で。一方では「ポンプシステム」だったり、今回の「ジグ システム」のように、ハイテクな機能を次々と生み出しているという印象もあります。ぼくはクルマが好きなので、スニーカーってそれに近いところがあると思うんです。後ろから見た印象とか、横からみた姿がいいとか、そういう風に眺めるのが好きですね。

大北さんがデザインを手がけた「DAYTONA DMX VA」。「もとからあった色を反転させながら、他にないカラーリングを意識した」とのこと。
ー 〈リーボック クラシック〉とコラボレートされたときはどんなことを考えながらやっていたんですか?
大北:靴からなにからブランドのことを徹底的に調べたんです、アーカイブを掘りながら。自分がコラボレートしたのは「CLUB C」と「DAYTONA DMX」なんですけど、どんな色使いをしてるかな? と、カラーバリエーションのラインナップを隈なくみたり。それでそのなかにある隙間を探しました。
ー 先ほどは「情報をシャットアウトしていた」と話されていましたが、一方でコラボレーションでは情報を獲得していったと。
大北:意地悪な言い方ですね(笑)。そうですね。自社ではなく他社の看板を借りる上で今までのアイテムの歴史やカラーリングを見てどこで差別化と新しさを出せるかが課題でしたので。〈リーボック クラシック〉にないものをつくりたいという気持ちがありました。〈ヴァイナル アーカイブ〉では自己完結したやり方を追求する一方で、どうしても外を知りたいという思いもあって〈リーボック クラシック〉とのコラボレーションをはじめたんです。とはいえ、こうしたグローバルブランドとの仕事は自分の想像以上にハードルの高さを感じました。
ー ハードルの高さ?
大北:ロットもそうですが、マーケティングの戦略方法がぼくの考えているものとは全然ちがったんです。でも、そこでどうやったら生き残っていけるかを考えていきました。ある意味では戦いに近い感覚で仕事をしてましたね(笑)。やはり規模も大きいですし、売れないといけないですから。一瞬だけ勢いで売れても次に声がかかってこない。変な話、ぼく自身もブランドに気に入ってもらいたいですし、ステップアップしたかったんです。

ー コラボモデルは日本国内だけじゃなくてグローバルで展開されたんですよね。
大北:ぼくがそうしたいって相談したんです。あえて自分で厳しい道のりを選んだというか。
ー 厳しい環境に身を置いてまで大北さんがやりたかったことはどんなことなんでしょうか?
大北:靴のデザインもそうなんですけど、ビジュアル制作も含めてよそができない提案をしたかったんです。そうしたトータルのストーリーづくりがぼくは好きなので。それをやった中で国内に限らず海外の人からも気に入ってもらえたというのは大きな励みになりました。
