地元のひとたちから愛されるレストランを作るために。
PROFILE
1975年、栃木県生まれ。イタリアでの修行後、2003年に東京・代々木上原にレストラン「LIFE」をオープン。現在は「LIFE son」をはじめ、全国4店舗を運営する。そのほかコンサルティングや執筆など、食を通してさまざまな活動を行なっている。
ー 中禅寺湖、はじめて来ました。気持ちいい場所ですね。
相場:快晴になることは少ないんです。今日もちょっとモヤっとしているでしょ? その分、幻想的な雰囲気になるんですよ。自然も程よい感じにあるし、夏は涼しくて、好きな場所です。冬もそこまで寒くもならないし。ただもう、紅葉は終わりですね(笑)。
ー すっかり冬ですね(笑)。相場さんは栃木出身ですが、育った場所も近いんですか?
相場:ここから100kmくらい離れた県南の方なので、近くはないです。でも、昔から馴染みはありましたよ。栃木の人たちからすると、日光ってやっぱりアウトドアの定番だから。特にうちの親父はアウトドア好きで、幼い頃からちょこちょこ来ていて。いまも年に数回は来てるかな。
ー それは、何の用でですか?
相場:仕事でくることが多いですね。というのも、実はいま、湖畔にある「レイクサイド日光」っていう宿泊施設のリノベーション事業に関わっているんです。市の保養所として20年くらい使われていたところなんですが、その1階に「LIFE」をオープンする予定で。
相場:日光って観光業ですでに潤っている街だから、新しいものを取り入れようとしないんです。若い人もどんどん東京へ行っちゃうし、ほとんどのレストランが観光客向け。地元の人たちが使えるレストランが少ないんですよね。新しい「LIFE」は、観光客もそうですが、なにより地元の人に足を運んでもらえる、居心地のいいレストランにしたいなと思っていて。
父の影響で育まれた、
自然との向き合い方。
ー ところで、相場さんがアウトドアを好きになったきっかけは?
相場:昔から親父に連れられて、キャンプとか車中泊とかをやっていて、たぶんその影響なんじゃないかなと思います。田舎と都会での2拠点生活を選んだのも、思い返せば父の影響かもしれませんね。
ー というと?
相場:うち、実家が飲食業をやっていたんです。1階が飲食店で2階が住居スペースという環境で。そして小学校高学年のころだったかな。親父がクルマで20分くらいの場所に家を建てたんですよ。飲食店はそのまま残して。
ー それで生活スタイルも変わったと。
相場:朝は、親が出勤するのと同時にクルマで街中へ出て、夜、親の仕事が終わって9時くらいになると、みんなで郊外の家に帰るという生活になりました。拠点が2つあって。
生まれ育った家も、もちろん“家”と認識していたんですけど、庭がある郊外の家のほうが、いわゆる“家”らしい感覚を持てたんですよね。外でBBQをしたり、人を呼んだりすることもできたし。きっとそんな経験があったから、大人になったいま、東京ではない田舎に拠点を持ちたいと思うようになったのかもしれないです。
ー 栃木で家族と過ごす場合、アウトドアをして過ごすことが多いですか?
相場:ぼくの家族ってキャンプとか山登りが好きじゃないんですよ。「虫が嫌」とか言って(笑)。だからこそ、いまみたいに那須塩原の「山の家」っていう拠点を持つところに落ち着きました。冬は自然に囲まれた室内で過ごして、暖かい時期は自然を眺めながらテラスで過ごす、くらいの感じで。