ブランド名はuniformにしようと思っていた。
ー そしていまでは欠かせないパートナーに。
クリストフ:便宜上、私がメンズ、サラ リンがレディスと分かれていますが、その境界線はとても曖昧です。それぞれが意見を出しあって、〈ルメール〉の服はつくられています。あぁ、アクセサリーはほとんどサラ リンに任せていますけどね。
サラ リン:ときに衝突することもあるし、大げんかに発展したことも(笑)。
クリストフ:本当につくりたいものを追求しようと思えば、それは当然のことです。だって我々は違う人間なんだから。え? ボスとスタッフじゃないのかって。ノン。我々の関係は、フィフティフィフティ。ですから、デザインワークはあくまで対等です。

ー そこから感じるのは、チームとしてのものづくりを大切にされるスタンスです。
クリストフ:ファッションという業界はひとりではなんにもできないんです。それぞれのスペシャリストがいてはじめて、服は生まれる。この仕事はご存じのように大変タイトなスケジュールのなかで進んでいきます。乗り越えることができるのは、この苦しみと喜びを共有してくれるチームがいるからです。だから私は、自分だけ表に出るようなやり方は好まない。
サラ リン:ブランド名のことでも一悶着あったわね。
クリストフ:〈エルメス〉の仕事を終えて心機一転、2016年にブランド名を見直すことになったんですが、本音をいえばもう自分の名前は使いたくなかった。なぜならば、先ほども申し上げたように服はチームでつくられるものだからです。私の頭に浮かんだのはhabits。フランス語で服装、という意味です。先を越されてしまいましたが、vetementsもよかった。これもhabitsと同じような意味になります。そうそう、uniformも有力な候補でした。どれもいいネーミングだと思ったけれど、チームの大反対にあって泣く泣く諦めました。

ー で、クリストフをとって、〈ルメール〉で落ち着いたというわけですね。
クリストフ:自分の名前をつけたのは若さゆえの過ちでした。せめてもの抵抗でしたね(笑)。
サラ リン:あぁ、この話はもうよしましょう。また喧嘩になっちゃうから(笑)。