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インディペンデントという強さ。本間貴裕(Backpackers’ Japan)
〜PACK FOR LIFE〜 OUTDOOR PRODUCTS

インディペンデントという強さ。
本間貴裕(Backpackers’ Japan)

東京・蔵前「Nui. HOSTEL & BAR LOUNGE.」や京都「Len」など、それまでのゲストハウスのイメージを覆すクリーンでモダンな宿泊施設を次々とオープンしてきたBackpackers’ Japan。代表の本間貴裕さんは、これまでにも数多のメディアから取材依頼があったものの多くを語らず、開業から約10年となったここ最近になってようやくそれまでのストーリーや想いを語られるようになりました。ゲストハウスカルチャーをそれまでとは違うフェーズに押し上げてきた本間さんに、〈アウトドアプロダクツ〉が掲げる”生活(人生)のためのバッグを”そして“生活(人生)のために荷造りしなさい”という「PACK FOR LIFE」をテーマに、人生のターニグポイントと一気通貫する軸を振り返ってもらいます。

  • Photo_Shinji Serizawa
  • Text_Yuichiro Tsuji
  • Edit_Shinri Kobayashi

これからの時代に必要なのは自分がなにをしたいのかという意思。

ー あとは働いているスタッフの方々も宿では大きな役割を持たれていますよね。採用に関してはどんなことを考えてされているんですか?

本間:いいやつに働いてほしいんです。よく言う話なんですが、一緒にご飯を食べたいって思うかどうかがすごく大事で。宿泊業なので、もちろんシフトで動いていますけど、大げさに言うと24時間一緒に過ごすわけです。生活に携わる仕事なので、働いている人同士が仲良くならないとお店って基本的によくならくて。全員が全員仲良くなるっていうのは無理だとしても、少なくとも一緒にご飯を食べたいって思えるような人と仕事をしていたい。だからいまでも昼食は一緒に食べるんです。それを紐解くと、“いいやつ”ってことになるのかなと。

ー いわゆるホテルでの接客というのは、いまは勉強できる時代ですよね。とはいえ、そうした経験がまったくない4人がはじめたわけですよね。

本間:そうですね。今のスタッフの中にもホテルで勤めていた人はほとんどいないです。

ー それはつまり、目指しているものが違うということですか?

本間:そうかもしれませんね。きっと働くことに対するモチベーションが違うんだと思います。ぼくらのところで働きたいっていう人は、ホテルで働きたいというよりも、もともとバックパッカーをやっていて旅が好きだったり、英語が喋れるけど日本だと話す機会がないから来たっていう人も多いんです。

ー 働いている人たちに対して、「こう働いてほしい」という想いはありますか?

本間:あります。制度にもなっているんですけど、ぼくらはフラットなんです。マネージャーはいないし、部門長もいないし、アルバイトと正社員の差もない。みんなが決定権を持っていて、どんなコーヒー豆を使うか、どんな音楽を流すか、どんな家具を買うかというのは、スタッフひとりひとりが決められるんです。

ついこの前「Nui.」の7周年パーティをやったんですけど、それもやりたいスタッフが自分たちでプロジェクトチームを組んで企画しました。

ー やりますというお伺いみたいなのもなくですか?

本間:説明責任はあるので、どういう企画をやるのかというのはみんなで共有します。その中で賛成や反対の意見を聞いて、その上で発案者が判断するということを制度になっていて。

ー そうやっていいパーティをつくるには、根っこの部分で共通の価値観や思いが必要になりますよね。

本間:これはよく話すんですけど、サッカーしているコートのなかにルールを知らないプレイヤーをひとり入れたとしても、いきなりボールを手で持って走りだすやつはいないと思うんです。それと同じで、ここには理念があるし、空間があるし、デザインがあるし、働いている仲間がいる。それがわかっていれば、内装をいきなり真っ黒にしてミラーボールを吊り下げるやつなんていないと思うんです。いたとしても反対される。仮にそれを押し切る強い情熱があれば、それは新しい価値観ですよね。もしかしたら正解かもしれないし、やってるみる価値はあるのかもしれない。

ー それだけの説得力があれば、ということですね。

本間:もちろんなかには精度の低いアイデアや、ちょっと違うんじゃないかというものもあります。とはいえ、そうした意見を発信できない組織よりも、失敗するアイデアも含めてたくさんの考えが集まる組織のほうが健全だと思うんです。そういうところはめちゃくちゃ力を入れてますね。

ブラジルのセムコ社という会社がそういう考え方で成長していたりとか、ティール組織論っていうんですけど、そういう本がたくさん出版されているんです。トップダウンよりも、ひとりひとりが意思を持ってそれを共有したほうが生産性が向上するという理論ですね。それによって一人一人の自立心が高まるし、組織としても強くなっていくと信じてます。

その代わり、自分の意見が常に求められるのでみんなプレッシャーは感じていると思うんです。緊張感というか。これをやれって言われてやってダメだったら、「言われてやりました」って言えますけど、それが通用しないので。

ー その上で自分で考えて行動することが大事だと。

本間:そうですね。自分がなにをしたいのかを考えてほしいんです。エスカレーターに登ったら着くというんじゃなくて、階段を自分の足で登ってほしい。しかもうちの階段は幅が広いので、良く言えば自由ですけど、一方では自分の考えを発信する必要がでてきます。

これから10年くらいでAIなどの技術がめちゃくちゃ発展すると思うので。単純な仕事のほとんどがなくなると思うんです。その先に必要なのは、自分がなにをしたいのかという意思です。その上でチームを組んで、やりたいことを具現化できないと、将来おもしろくなくなっちゃうと思う。それをこの場で身につけていってほしいんです。

ー やはり本間さんたちがインディペンデントに始めた会社だから、その精神性は変わらないですね。今後やっていきたいことなどはありますか?

本間:会社を設立してちょうど10年が経過しました。今後はBackpackers’ Japanとして新規店舗を出していくのもそうですが、今を節目に、海外も含めて、一気に一つのホテルブランドを世界に広げることに挑戦したいと思っています。

INFORMATION

アウトドアプロダクツ
カスタマーセンター

電話:06-6948-0152
www.outdoorproducts.jp

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