PROFILE

1974年生まれ。画家としての活動をベースにしながらも、様々なアーティストとのプロジェクトやグループ展も企画。活動範囲は国内に留まらずパリや台湾で作品の展示をするなど、グローバルに活躍している。
無になることもできるし、いい考え事の時間にもなる。


朝の東京。空気はまだ冷たく澄んでいて、都会の景色をキリっと引き締めています。東京は人々のさまざまな想いや文化を吸収し、めまぐるしく新しい景色が生まれる街であり、一方では江戸の伝統が息づく場所でもあります。銀座はそんな東京の二面性がバランスよく共存する街。まだ人影が少ない朝の銀座を〈ルノー〉の「トゥインゴ」が軽快に走ります。
「むかし銀座でバイトしていたことがあって、ぼくにとっては思い入れのある街ですね。ちょっと品のある空気が漂っているところも好きだし、よく散歩したりするんです」

街を歩きながらそう教えてくれたのは画家の中村穣二さん。国内のギャラリーで個展を開催したり、〈ルノー〉が生まれたフランスのパリでも展示をおこなうなど、グローバルにアートの世界を往来しています。
「むかしから運転が好きで、クルマでよく東京まで来ていました。ぼくは出身が千葉で、いま住んでいるのは横浜のほう。友達や仕事で人に会うときは東京が多いんですけど、ここに来るまでの時間でいろいろ考え事をしたりしながら気持ちを切り替えるんです」

銀座で散歩をした後、「トゥインゴ」に乗ってまたグルグルと東京の街をクルマに乗って回遊します。
「クルマの中って自分のための空間になので、朝起きてから目的地に向かうまでのあいだにマイペースに移動ができるし、運転しているときはスマホをいじったりできないから、雑念が湧かずに心をニュートラルな状態にキープできます。現実を忘れて無になることもできるし、一方ではいい考え事の時間にもなる。それがすごく自分にとって心地いいんです」

あえて都心と距離を置くことで自分のペースを保っているという中村さん。そうした物理的な距離が余白の時間を生み出し、気持ちの整理につながると話します。
「運転しながらだと誰かが乗ってても会話がしやすいし、きまずいムードにならないのもクルマという空間ならではですよね。クルマって不思議だよなぁ」
