広島にマルタン・マルジェラがいた。
ー これまでにスラックス、イージーパンツ、デニム、コーデュロイパンツとリリースしてきて、今回はセットアップの提案です。

〈UDA〉ブルゾン ¥39,000+TAX、
パンツ ¥24,000+TAX

宇田:堀家さんと話しててトップスをやろうということになって。スラックスは1番最初にリリースしたアイテムを少しだけ微調整したものです。
堀家:このスラックス、いわゆるドレスを扱うお店の人たちからも評判で、こうゆう余白を残した縫い方ってすごい難しいらしいんですよ。
宇田:縫い代の幅を1センチ残して縫うんですけど、これをすることによってサイズ調整ができるんです。昔のスラックスの仕様ですね。親から子へ受け継ぐときにきちんとお直しができるように。ジャケットもそうじゃないですか。縫い代をきちんと取っておくっていう。

堀家:へー。。って、その話初めて聞いたよ(笑)。
宇田:最近は縫製も簡易化されてるんです。縫いやすいように。
ー トップスはどういった経緯でやることになったんですか?
堀家:トップスをやってくれと頼んだわけではないんですが、やりたいんだろうなとは薄々感じてたんですよ。あとはうちのスタッフから「宇田さんのトップスが見たい」っていう意見が上がってきて。
宇田:それでいつものように試作をつくってみたんです。ちょうどそのタイミングで堀家さんが福山に来て、試作を見せたら「じゃあセットアップでやろう」という話になって。
堀家:このブルゾンは前を開けて着ると、襟の開きがすごくきれいに出るんですよ。初めて着たとき「あれ!? 広島にマルタン・マルジェラがいる!」って思いました(笑)。それほどいい開きなんです。


From UDA official Look
宇田:スウィングトップとドリズラーのいいとこ取りって感じのデザインにしています。袖はセットインなんですが、ラグランっぽくも見えるように切り替えてたり、その先にフラップポケットをつくってみたり。
堀家:〈UDA〉はタックを重ねるっていうのがひとつ象徴的なディテールなので、トップスでそれを表現するとなったときに、ポケットをダブルにしたんです。ひとつはハンドウォーマーで、もうひとつは財布とかを入れられる大きめのポケット。これもこだわりのディテールですね。
ー シルエットはゆったりめで男らしい感じですね。アームホールも大きめにデザインされています。
堀家:後ろ姿がすごくいいんですよ。前を締めて着たときに、生地のたるみがきれいに出るんです。
宇田:生地のハリが強いので、ボリュームが出やすいんです。その特性が活きたシルエットになってます。

ー 生地はウールですか?
宇田:そうですね。チェビオットウールという、ツイードに似た固めの生地です。もっと夏っぽい涼しい生地で当初は考えていたんですが、この生地はドライ感があるし軽さもあるからこれからの季節でもハマりそうだと思いました。それにこの杢目がよくて、絶対に使いたいって提案したんです。
堀家:イギリスの生地なんですけど、それを梳毛(そもう)と言って手で梳いて薄くしてるんです。固さはあるけど、生地が厚くないので夏以外はいけると思います。これ、黒とグレーじゃなくて黒とネイビーなんですよ。今日、宇田ちゃんが着てる方がネイビーです。
ー 本当ですね。よくみると青味がかってます。
堀家:ネイビーの生地を梳毛することで白っぽくなってきて、グレーっぽい絶妙な色合いになるんです。この色は自分もすごく気に入ってます。