ちょっと癖のある服を生かすような服であればいい。
ー デザインする際に、このブルゾン以外の形は選択肢になかったですか? 例えばミリタリーのジャケットなど。
宇田:なかったですね。こういうドリズラーが着てみたいと思ってつくったんです。
堀家:自分たちが着るものをデザインしないとお客さんにウソをつくことになってしまうので、「自分たちは着ないけど、これをつくったら売れる」っていうアイテムはやらないですね。だから必ず「宇田ちゃん、これ着る?」って聞くようにしてます。
ー なるほど。
堀家:つくって欲しいものがあって、でも宇田ちゃんが着ない場合は「なんで着ないのか?」ということを掘り下げるようにしてます。好き嫌いの理由を掘り下げるって意外と大事で、最終的に自分や相手の考えていることがわかったりして、それがデザインの着地にいい影響をもたらしたりするんです。

宇田:さっきも話しましたけど、ぼくは本当に共同作業だと思ってます。堀家さんやお店の意見ってすごく大事だと思ってるんで。最後の微調整は必ずお店でするんです。
堀家:デザインが90%までできあがって、最後ここだけ迷ってるっていうときは「じゃあ店に行こう」っていうのが通例になっていて。
ー そこでスタッフさんの意見を聞くと。
堀家:はい。スタッフとのコミュニケーションが宇田ちゃんにとってもモチベーションになるし、うちのスタッフにとってもそれは同じなんです。それで最後に仕上がったら、ビール飲みながら焼肉食って別れるっていう(笑)。
ー 春には以前発売されたデニムの再発、そして新作のチノパンや、ミリタリーシャツもリリースされるそうですね。


From UDA official Look
宇田:どんどん追われるようにつくってます…。
堀家:宇田ちゃん、動き出すの遅いんで、こちらとしては早めに計画を立ててそれを伝えてるだけなんですけどね(笑)。宿題を後半にやるタイプなんです。
宇田:途中で先のことを言われても、そっちに頭がいっちゃって整理できなくなるんです。だから目の前にあるタスクをきちんと終わらせて次に取りかかってます。
堀家:自分がこういうのを着たいって思ってるやつがほかにもあるんですけど、それをいま伝えるとキャパ越えちゃいそうなんで、いまは黙ってる状態です(笑)。でも、それが彼のいいところだと思うんです。一つひとつを大事にするっていう。
宇田:他のブランドさんならコレクションで見せるほうがイメージも伝わりやすいと思うんですけど、ぼくの場合は全身自分の服じゃなくてもいいと思っているので。コーディネートにおける効果的な差し色のように、ちょっと癖のある服を活かすような服であればいいかなと。
ー 今後の目標などあれば、最後に教えていただけますか。
宇田:一個一個コツコツですね。大きな目標はないです。ひとつの服を丁寧につくるだけです。いまと変わらずに。
堀家:さっき宇田ちゃんが共同作業って言ってましたけど、最終的な作業というのはお互い別なんです。自分は店のこと、お客さんのことを考えていて、人が喜ぶことをしないといけない。それを宇田ちゃんと一緒にできるように、彼のアイデアを少しでも具現化できるようにサポートできたらいいなと。一球入魂でつくっていくものに対して、それが受け入れられる体制をこれからもつくっていきたいですね。
