どこのデニムブランドもチャレンジしたことがない最高の課題に出会えた。
ー 〈LE〉がスタートしてから1年が経過しようとしていますが、ものづくりの精度が上がっているように思います。

金子:そうですね。通常、セレクトショップで行うものづくりとは違う目線やチーム編成でやっているのが大きいと思いますね。
小森:「レショップ」はすごく発信力のあるお店だから、その力に甘えちゃいけないなとは思います。そこで下手なものをつくるとバレちゃうと思いますし。自分たちの引き出しで、しかも最短ルートでやろうとすると、一発目の仕上がりをみたときに「目的が逸れちゃったな」と思うことがあるんです。会社の事情があるなかでやってるので仕方ない部分もあるんですけど、それを度外視してもやれたんじゃないかと。
ー より厳しい目線でつくらないといけないということですね。
金子:だからぼくらの場合、製品になるまでの寄り道がすごく多いんですよ。それは小森さんや今回矢實さんに監修に入ってもらったことのいい側面で。いつもならスムーズにできているところを、客観的なアドバイスをいただくことでブラッシュアップできるというか。

小森:一発ではなかなかいいものが上がらないって思ってますね。だから、納期を前提に物事が進行していくのがすごく気持ち悪くて。なんなら最終ボツになってもいいという気持ちでやらないとダメですね。スケジュール優先ということは商売優先ということだから。一発つくっていきなりOKが出るほど服づくりは簡単じゃないんです。
ー 今回は何回かつくったんですか?
矢實:一度中国の工場で縫ってもらって、その後にコロナがきて最終的に岡山になったので、結局2回ですね。
小森:それでいいと思いますね。最初よりもだいぶよくなりましたし。

矢實:ぼくもこの仕上がりなら納得できますね。ただ、完璧と言われるとそうでもなくて。これからもっと進化できると思うんです。
金子:普通、こういうのって何年か時間をかけてやりますもんね。
矢實:でも、商品のクオリティとしては高いと思います。
ー 〈リーバイス®〉も創立から現在に至るまで生地の工場が変わったりと、変遷がありますね。
金子:仰る通り、長い歴史の中で全然違うものに変わっていってますよね。今回のデニムもそれと同じようなことが言えると思います。
矢實:ぼくとしては、まだどこのデニムブランドもチャレンジしたことがない、最高の課題に出会えているような感覚です。その一発目としてはすごくいいものができあがったと思います。みんなここまではやらないというか、掘り下げはしないと思うんです。
小森:ぼくもそう思います。これが完成ではない。これからもっとクオリティ上げられますよね。
金子:どこまでいったら完成なのかって判断しにくい。永遠にブラッシュアップできるというか、そうしていきたいですね。
