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ディレクター、スタイリスト、デザイナー。 3つの視点から覗く、ブランドストーンの魅力。
150th Anniversary. vol.1

ディレクター、スタイリスト、デザイナー。
3つの視点から覗く、ブランドストーンの魅力。

今年、創業150周年というアニバーサリーを迎えた〈ブランドストーン(Blundstone)〉と言えばやっぱりサイドゴアブーツ。性別、世代、シーンを超えて愛される、この靴の魅力はなにか。ファッションに精通したお三方に話を伺いました。「ユナイテッドアローズ」の栗野宏文さん、スタイリスト百々千晴さん、〈ダイリク〉デザイナーの岡本大陸さんが、それぞれの視点でブランドストーンについてたっぷり語ります。栗野さんの著書『モード後の世界』に続く話、百々さんのYouTube話、岡本さんによる映画の話など、シューズ以外の話もあわせてどうぞ。

CASE 3 デザイナー・岡本大陸

PROFILE

岡本大陸
〈ダイリク〉デザイナー

1994年奈良県生まれ。大阪のバンタンデザイン研究所在学中に、ファッションブランド〈ダイリク(DAIRIKU)〉を立ち上げる。2016年にAsia Fashion Collectionのグランプリを受賞し、2017年秋冬コレクションをニューヨークファッションウィークで発表。生粋の古着好きで、ブランドコンセプトは「ルーツやストーリーが感じられる服」。キッズが出てくる青春映画が好きで、最近観た映画では『Mid90s』がお気に入り。

ジャケットかスエットかくらいに、靴にはキャラクターが出てる。

ー 大陸さんは靴に対して、どのようなこだわりがありますか?

岡本:気に入ったら同じのを買う癖があり、素材もデザインも同じ靴を8足連続ぐらいで履き続けたこともあります。あとはそのシーズンや気分に合わせてですね。〈ダイリク〉はテーマを映画などから決めているんですが、登場人物の靴がかっこいいなとか、影響を受けて履いたりしていますね。

ー 映画で靴がフォーカスされることは少ないと思いますが、靴が印象に残っていた作品はあるんでしょうか?

岡本:ぼくは『マイ・フレンド・フォーエバー』という映画がすごく好きなんですが、主人公はあまり裕福じゃない家庭で育ったので、泥がついたような靴を履いていて。紐がほどけてたり、汚れていたりするところに性格が出ている気がします。これは極端ですが、着ているのがジャケットかスエットかくらいに、靴にキャラクターが出ていることもあるのかなと。

大陸さんの足元は、「BS558 CLASSIC COMFORT」。丸みのあるトゥは、色落ちした男らしいストレートデニムとも相性抜群。

ー たしかに、靴にはそのひとらしさが出るなんて言われていますよね。

岡本:4シーズン目の『ノトーリアス・B.I.G.』という映画を元にしたコレクションでは、アメリカンドリームを徐々につかんでいくというストーリーを考えました。最初のゲットーみたいなシーンでは履き潰されてよれた靴を、一方成り上がったあとのホテルシーンではタグ付きの新品を履くという感じで。それこそDr.ドレーのように、1回履いたら捨ててしまうみたいなイメージです。その時は、スタッフで話し合ってつくっていく中で、靴の重要性がすごく際立った撮影でした。

ー やはり、ストーリー性というのは大陸さんにとって重要なところなんですね。

岡本:〈ダイリク〉のコンセプトは、「ルーツやストーリーが感じられる服」なんです。ストーリーというのは、観た映画や自分の記憶の組み合わせ、ルーツは服が持つ歴史やディテールのこと。〈ダイリク〉のカバーオールは、縫い方や仕様などは古着の持つルーツを大切にしていて。見た目は古着風ですが、ドルマンスリーブに変更することで〈ダイリク〉らしく仕立てています。

ー 古着のアーカイブというのは、定期的に探されているんですか?

岡本:そうですね。展示が終わって、次はどうしようかなっていうタイミングでルーティンのように。高円寺や下北沢、三軒茶屋の古着屋をよくまわります。元々好きなので自然とできているのもあって、コレクションテーマとなるような服を探す気持ちと、自分が着る服を探すという気持ちと半々です。

ー デザイナーとしても、個人としても、やはり岡本さんのルーツは古着にあるんですね。

岡本:古着は昔から好きです。母校のバンタンがあるアメ村は古着屋が多いんで、休憩時間や学校終わりによく行って、服の歴史などを店員さんから教えてもらっていました。例えば、〈ダイリク〉のデニムはシンチバックを切り落としているんですが、それは昔、ベルトを巻く際に針が邪魔だったから切ったというストーリーを聞いたからです。そういう話は大好きですし、コミュニケーションのきっかけになったら嬉しいですよね。

積み重ねによって雰囲気が出てくる。

ー なるほど。では話変わりまして、いままでサイドゴアブーツって履かれていましたか?

岡本:以前、履いていたこともあるんですが、いまはスニーカーやレザーシューズが多いです。サイドゴアブーツは紐がなくて履きやすいですね。特に〈ブランドストーン〉は前後にひっぱるプルタグがあるので、着脱が楽でした。普通は後ろにしかないですよね。

ー デザイナー的な視点から見て、サイドゴアブーツはどのような写っていたのでしょう。

岡本:自分としては、モードな雰囲気があると思っています。靴紐というディテールがそぎ落とされているから非常にミニマムと言いますか、モードなアイテムという認識です。〈ダイリク〉で、モードな雰囲気と気になる映画がリンクした時に、使ってみたいなと思います。

ー シーズンごとのルックも話題ですが、大陸さんはスタイリングの中で靴をどのように決めているんですか?

岡本:ここ最近は、スタイリングを渕上カンさんにお願いしています。ニューヨークコレクションに出たときに初めてご一緒したんですが、バランスを考えて靴をスタイリングしてくれたことで、靴の重要性をより感じられたんです。全体の雰囲気、時代性がしっかり表現できたというか。靴や小物のチョイスなど、スタイリストの偉大さを実感しましたね。

学生時代のデザイン画を眺める大陸さん。いまはルックで描かず、アイテムごとにディテールを突き詰めている。靴に関して聞くと「モードブランドよりもずっとつくり続けている、昔からあるブランドが好き」とコメント。

ー スタイリングは重要ですよね。今日はデニムに〈ブランドストーン〉というコーディネートですが、何か感じたことはありましたか?

岡本:デニムに合わせて履いてみたら、父の靴を思い出しました。昔、バイク乗りだったんでブーツを履いていて、そのときに履いていたのとこのトゥの丸みや見え方が似ているなと。実は昔の映画だったり、昔の服だったりとか、父からの影響も大きいんです。バイクに乗るときに、デニムに合わせてブーツを履いていた、というイメージがあります。

ー 大陸さんのルーツと繋がりますね。〈ダイリク〉はスタートして3年半、かたや〈ブランドストーン〉は創業150周年。歴史あるブランドに対して感じることは?

岡本:やっぱり、絶対に勝てない存在じゃないですか。歴史も長いですし、言葉にするとシンプルになってしまうんですが、すごくリスペクトしています。ぼくが靴をつくったとしてもやはりできない部分というか。自分がもしサイドゴアブーツをつくるとしたら、めちゃくちゃリサーチして自分のブランドのマインドを持ちつつ提案したいですね。

ー ものづくりにおいて、“雰囲気”を大切にされていると思うんですが、どうしたらそういった目に見えないものを物体に宿すことができるのでしょう。

岡本:加工方法や縫い方など、見えない部分までこだわること。そうやってシーズンを重ねるうちに、その服の雰囲気が濃くなっていくのかなと。〈ダイリク〉でブランド初期からつくっているカバーオールは、ずっと同じひとにお願いしています。サンプルから量産まで全工程を一人で行うそのひとは、一緒に使う生地や仕様まで考えてくれるんです。そんな細かな積み重ねで雰囲気が出てくると思うんです。

ー 長年つくり続けることで、より説得力と深みが増し、雰囲気が生まれるんでしょうね。

岡本:ひとつのアイテムを長年作り続けてきたというのは重みがあります。〈ブランドストーン〉は150周年だから、その工程を何千回と繰り返しているはず。その積み重ねによって雰囲気というものが出てくると思うので、ぼくも大切にしたいと思っていますし、そういうブランドとコラボしてモノをつくってみたいと思いますね。

足馴染みのいいレザーライナーや高性能クッション素材XRD®︎をインソールに使用することで、「ORIGINALS」をさらに履き心地よく仕上げた「CLASSIC COMFORT」シリーズ。ソールの溝も深くすることでグリップ力を増したり、ダブルステッチを施すことで強度を上げたりなど、数々のディテールの積み重ねにより、愛用者を増やしている。「ORIGINALS」に比べて、甲やつま先に厚みがあるのが特徴でもある。

INFORMATION

ブランドストーン

日本公式ブランドサイト

〈ブランドストーン〉の公式サイトでは、随時ファッションスナップも更新中。
取り扱い店のスタッフによるコーディネートはこちらからご覧ください。

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