スケートボードに対する熱意が、
思わぬミラクルに繋がった。
YOPPI:自分からしたら、「え? 〈ミズノ〉? マジすか?」みたいな。当時、誰もスケートシューズをつくるっていうことを経験してる人がいないので、本当に手探り。ソールの硬さを検証することさえも未経験。言い方悪いですけど、適当っていうか(笑)。
今だから言えるけど、まだスケートボード自体がスポーツっていう認識も無いし、そこの次元になんせ居ないんで。悪口じゃないっすよ(笑)。事実なんですよ。この先スケートボードがどうなるかっていうところも、〈ミズノ〉さん側も、まだフワフワしていて。
あいだにいた小林さんだけがちゃんと、先見の明を持っていたんですね。
ー なるほど。
YOPPI:一応、第2弾までリリースして、ヌルっと終わったような記憶があります。本当に手探りだったんですよね〜。
ー 今でこそスポーツメーカー各社がスケートボード用のシューズに参画していますけど、遥か昔の話ですもんね。
YOPPI:早かったのは、早かったですね。ただ本当に続けてなんぼの世界なんで。バスケットも野球も続けてなんぼだと思いますけど、スケートボードも一緒。続けてこそのところがあるので、たった数回じゃあんまり分からない。
「あぁ、終わっちゃった」ていう感じで。少し物足りなかったですけど、いい経験にはなりましたね。ソールが硬さで、スケートボードのグリップの良し悪しがどうなるとか、初めて知りましたもん。誰も教えてくれないし。
NAOKI:漠然と、あの靴が調子良いっぽいぞ! みたいな頃ですもんね。市販のシューズから、スケートボードと相性がいいのを見つけ出していた時代。ちなみに当時何才くらいだったんですか?
YOPPI:22とか23歳かな。クソガキですよ(笑)。本当ただの子供でした。でも、熱意だけはあったので、それを大人が拾ってくれたりして、ミラクルが起きたんですよね。だって、ぼくみたいなクソガキがつくったシューズを、あのエリック・クラプトンが買いに来たんですからね。すいません、自慢ですね(笑)
ー あのクラプトンが!?
YOPPI:そうなんです。このシューズを掲載してくれた雑誌『Boon』を見たらしく、日本のエージェントを通してお店を探し出して、直接連絡が来たんですよ。当時はクラプトンの凄さを全然知らなかったので、とりあえず(藤原)ヒロシくんにクラプトンが来ることを伝えて。
NAOKI:クラプトンってかなり東京のストリートカルチャーに造詣が深いですよね。その入り口がYOPPIさんだったということですか?
YOPPI:たぶんぼくです。彼はもともとグラフィティアートが好きなんですよね。当時からSTASH、Futuraの作品を買っていたみたいで。その流れでシューズにグラフィティのデザインを採用した「スリーフィート・ハイ」が目についたみたいで。ネットもない時代に調べて、直接電話してきて、実際に本人がお店にまで来てくれて。
NAOKI:え、お店に来たんすか?
YOPPI:そう。しかも、「スリーフィート・ハイ」を履いてライブにも出てくれています。
