スリーフィート・ハイのことを思い出したら、方向性が見えてきた。
NAOKI:そうですね。10代後半だったと思います。友達が大阪の「ヘクティク」で働いていたんで、そこで買いました。〈ミズノ〉自体は部活で履くイメージが強かったので、YOPPIさんとシグネチャーシューズを出したのは、いい意味で裏切られたというか、かなり新鮮でした。
実際、〈セイハロー〉で〈ミズノ〉とコラボレーションするときも、まず頭に浮かんだのが「スリーフィート・ハイ」のことですからね。それくらいインパクトがあるモデルでした。

ー 〈ミズノ〉とのコラボレーションをすることになった経緯を教えて下さい。
NAOKI:ロンドン経由でオファーが来たんです。最初は悩んだんですけど、「スリーフィート・ハイ」のことを思い出したら、方向性が見えてきて。そのなかで〈ミズノ〉のことを改めて調べたら、ファッションに対するアプローチが独特で。これならぼくたちもやる意義が出てくるなと。
しかも、シューズってロットやサイズ展開の問題で、つくるハードルが高いんですよ。だからこそ、きちんと〈ミズノ〉と向き合って良いものをつくっていこうと。

ー 実際に〈ミズノ〉と取り組みを行って、どうでしたか?
NAOKI:いやあ、難しかったですね。シューズってパーツが多いので、デザインに迷いが生じてくるんですよ。ボディがあって、グラフィックがあって、みたいな服とはまったく異なる作業。だからこそ生産背景がしっかりしている〈ミズノ〉というパートナーは、とても頼りになりました。

YOPPI:いろいろレギュレーションもありますしね。それに若者たちの靴の買い方も、向き合い方も、見方も変わってきている。モノトーンが人気だったりして。だからこそ、あえてクレイジーパターンにしたんです。その前に〈セイハロー〉とのコラボを見ていましたし、まったく違うものをつくってやろうと。
NAOKI:自分が履きたいのとはまた違う感覚というか。ある意味、デザインを通してぼくたちなりのメッセージを伝えているというか。
YOPPI:やるからにはインパクトを残したいですからね。たとえ批判があろうが、チャレンジすることに意味がある。

ー 〈ミズノ スポーツ スタイル〉のインスタグラムでは、お二人が手がけたモデルのリアクションがめちゃくちゃ良かったと伺いました。
NAOKI:ちょっと良い話…。 あんまり直接言われることないから、恐縮です(笑)
ー YOPPIさんもデザインに加わった〈XLARGE〉とのコラボレーションモデルは、ZOZOでニュースランキング1位になり、若年層のユーザーが一気に増えたそうです。
YOPPI:あの〈ミズノ〉が、こんなカラーリングのをつくるんだっていう感じだったんですかね? こんなに懐が深いのか! みたいな。まぁ、パッと見ですかね。見たことないものをっていうスタンスでつくりましたからね。チームみんなでデザインの方向性を話していた時に、やっぱり、〈XLARGE〉と〈ミズノ〉となったら、お互いの良いとこをガッツリ出した方がねってことになって。
90年代に海外限定で展開されていたバレーボールシューズの「COURT SELECT OG」をベースにしてるところも面白いかなと。EVAミッドソールに被さるように部分的に立ち上がったアウトソールで、めちゃくちゃ横ブレ防げるし、踵接地時の安定性も良いんだよね。
NAOKI:部活で〈ミズノ〉の靴を愛用しているような若者にとって、こういうのが急に出てきて、そこに響いたんでしょうね。そういった体育の授業や部活で使うようなモデルや、いわゆるアスリート向けのランニングシューズをデザインできたら面白そうですね。ファッションデザインの役割が明確になりますし、より多くの人に履いていただける。
ー 〈XLARGE〉とのコラボでは、今回ムービーも作られていましたよね。SNSなどではムービーがあることでより反応が大きくなったんじゃないですかね。
YOPPI:人物を入れたり、バレーボールシューズに特化したようなビジュアルでもないですし、靴を基にしてどんだけ映像だけでイメージを膨らませるかっていうところを考えて作ったんですよね。靴自体が結構なクレイジーパターンだったので、とにかく靴の写真で遊んでコラージュ風な映像で。履く人が限定されないように、ファッションとしては特定のイメージを付けないようにして。




ー 今後お二人が〈ミズノ〉と取り組むとしたら、どのようなものをつくりたいですか?
NAOKI:個人的にはシャープなフォルムのスニーカーが好きなので、サッカーのトレーニングシューズとかをアレンジしてみたいですね。
YOPPI:ぼくの場合は今日と明日で言うことが違うからな(笑)。でも、やっぱり今日の題材にもなった「スリーフィート・ハイ」の復刻じゃなですか? うちにデッドストックがあるので(笑)。それが難しいのであれば、新しいスケートシューズをつくるとか。技術力はずば抜けているので、できると思うんですよね。今やんないとですよ、〈ミズノ〉さん。なんでもお手伝いはするので。